だが、驚くことに管理職の98%が、より効果的に「重要な問題に対応できるようにするため」、勤務先は自分たちを対象としたより多くの研修を行うべきだと考えていることが分かった。その重要な問題には、専門技能や対立する者同士の仲介役を担う能力の向上、離職率の抑制、時間管理、プロジェクト管理などが含まれる。つまり、管理職に求められる職務の大半だ。
人材開発支援ソリューションを提供する米グローヴォ(Grovo)がさまざまな業種の中間管理職500人以上を対象に行った調査によると、彼らの多くは十分な準備ができていない状態で新たな職務に就いたと考えているようだ。主な調査結果は以下のとおりだ。
・自分たちのおよそ5人に2人が「準備ができていないまま管理職に昇進した」と感じている
・自社の管理職で「極めて有能」な人材は、半数以下だと考えている(複数の調査から、自らの職務に十分にエンゲージしていると考えている従業員は約30%にとどまることが分かっている)
・中間管理職の87%が「管理職に昇進するときの管理者研修が不足していた」と答えている(上述のとおり、管理職は一般社員と全く異なる能力が求められ、昇進にはリスクが伴う)
こうしたデータは、新任の管理職に対するサポートが慢性的に不足する状況がまん延しており、そのため企業が管理職に求める成果を出すことが難しくなっているという現状を示唆している。
調査から分かるとおり、人事部やその他の関連部門がこの役職の複雑さを過小評価しないように、新任の管理職に対して行うべきことは多い。管理職の役割を十分に果たすためには、それまで認識していなかったようなもの含め、さまざまなスキルの組み合わせが必要となるのだ。
優秀な管理者とは、いくつもの役割を果たすことができる人のことだ。状況に応じて、彼らは精神分析医にも警官にも、あるいはコーチや会計士、外交官にもならなくてはいけない。十分な準備もなく管理職を任された人たちでも十分な成果を上げることができると企業側が考え続ける(あるいはそうあって欲しいと望み続ける)限り、今回の調査で示されたような状況が、今後も続くことになるだろう。