米コロラド州のキャンペイ(CanPay)は先ごろ、同州とワシントン、オレゴンの両州にある大麻調剤薬局のための電子決済システムを開発、購入者が現金以外の方法で支払うことを可能にした。この業界に特化したデビットカードによる決済システムは、国内初だという。
米国人のほとんどは、デビットカードはどこでも使えると思っている。だが、医療用大麻の調剤薬局は別だ。マスターカードやビザは、連邦法が改正されるまで大麻関連の事業者とはビジネスを行わない方針を明らかにしている。また、ATMを設置し、必要な人は購入時にその場で現金を引き下ろせるようにしている薬局もあるが、利用者はその際、5ドル(約550円)程度の手数料を支払わなければならない場合が多い。こうしたことが、新興の金融会社にビジネスチャンスをもたらしたといえる。
ただ、キャンペイは大麻購入に使える「初の」デビットカードだとうたっているものの、多くの調剤薬局はすでにクレジットカードもデビットカードも利用可能だとしている。キャンペイのダスティン・アイディ最高経営責任者(CEO)はこれについて、「ビザやマスターカードが承認していない両社のクレジットカードなどによる決済方法を、薬局側が受け付けてしまっているだけだろう」と話す。
「一部の大麻調剤薬局は、事業内容を正確に銀行側に伝えないことで、デビットカードの利用を可能にしていると考えられる。また、薬局がマーチャント・アカウントを開設するための独創的な方法をみつけた企業もあるのだろう」
アイディは、銀行側がこれらの薬局が取り扱っているものが何かを知れば、現在使用している口座は閉鎖されてしまうだろうと指摘している。
また、大麻購入の際の支払い方法として使われることを認めないのは、ビザとマスターカードだけではない。アップルとグーグルは、キャンペイの決済サービス用アプリの公開を拒否している。