市場調査会社eMarketerによれば、当日の売上はブラジルの2016年の年間EC売上高を上回り、世界各国のECの年間売上高ランキングに換算すると、韓国に続く11位に入る。ここでは、独身の日に関する興味深いデータをポイントごとにまとめてみた。
1. 垂直統合によるエコシステム
シングルデーの核心テーマは垂直統合と言える。アリババは単なるオンラインのマーケットプレイスにとどまらず、自給自足のECエコシステムを形成している。アリババ傘下のアリペイの決済システムは24時間のセールで10億回以上使われ、アリババの物流プラットフォーム菜鳥網絡は6億5,700万件の荷物の輸送を担った。
2. モバイルからの購入が8割を突破
独身の日のショッピングの82%はモバイルからだった。中国のスマホユーザーは約8億人で、パソコンからモバイルへのシフトが、セールへの参加者を大きく増やしている。そしてアリババのB2CサイトTmallの常連客は4億3,000万人いる。
3. 海外からの出品者も増加
購入品の27%は海外ブランドや海外業者の商品だった。海外ブランドは近年ブランド品に詳しくなった中国人消費者との結びつきを強めている。
4. 動画を活用したEコマース
アリババ副会長のジョー・ツァイ(蔡崇信)は「ライブストリーミングは中国のネット分野で一番熱いトレンドだ」と語った。商品を売るためにストーリー仕立ての動画CMを配信する企業も増え、各ブランドはこぞってライブストリーミング活用に乗り出している。コンサルティング会社L2によると、調査対象となったコスメブランドの70%がライブストリーミングを使っていた。
5. 「体験」を重視したショッピング
ある関係者は、「ショッピングは欧米の人にとっては雑用だが、中国人にとってはスポーツだ」と指摘する。各ブランドは中国では顧客の体験にさらに注意を払う必要がある。
6. VRやARを駆使した実験空間
シングルデーは単なる小売の未来ではない。そこにはVRやARがふんだんに取り入れられている。Tmallのアプリで買い物をする人の75%は35歳以下だ。今後の中国市場は最先端のテクノロジーを駆使したECの実験場となることが期待できそうだ。