だが、アップルが次の四半期(10-12月期)に業績回復を実現した場合、巨額に上る手元資金をどう使うのかに関する議論が高まる中、同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)がそうした考えに陥ってしまうことは、あるかもしれない。
アップルは10月25日、2016年第4四半期(7-9月期)の決算を発表。手元資金が2,376億ドル(約24兆8,400億円、短期保有の有価証券を含む)に上っていることを明らかにした。恐らくどんな企業でも傘下に収められるほどの金額だ。
アップルのエコシステムにおけるコンテンツの重要性や、今月22日に米通信大手AT&Tが850億ドルでHBOの親会社、タイム・ワーナーを買収することで合意したと発表したことを考えれば、アップルがコンテンツ企業の買収に乗り出すのではないかとの観測が出始めても不思議はない。
各社アナリストの見方は
ゴールドマン・サックスのアナリストは、決算発表時にクックCEOが述べた次の言葉の真意を読み取ろうとしている。
「わが社がより良い製品を顧客に提供し、より革新的になるための戦略的価値があれば、規模にかかわらず買収を行う可能性はある」
CEOのこの発言は、「コンテンツ事業と合併・買収(M&A)への意欲の高まりをうかがわせる」サインだとみているのだ。
モルガン・スタンレーのアナリストもまた、これと同じ考えだ。「アップルはコンテンツ事業のてこ入れ、あるいは再構築につながる買収に意欲的だとみている」という。