「多様性」に関する企業幹部の認識、男女で大きな差

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企業の従業員や取締役が多様性に満ちている方がより堅調な業績を達成する、という調査結果が一貫して示されているにも関わらず、企業におけるダイバーシティの捉え方はまちまちな状態が続いている。

監査法人プライスウォーターハウスクーパース(Pwc)が取締役を対象に行った調査報告によれば、取締役のメンバーは多様な人種やジェンダーである方が業績に良いと答えた人は、女性取締役が89%だったのに対し、男性取締役はわずか24%だった。

2015年時点で、S&P500指数の構成企業における女性の取締役がわずか20%であることを考えると、この考え方の相違はきわめて重要だ。

なぜ男女で考え方にこれほどの差があるのだろうか。「男性にとっては、まだ結論が出ていないのだ」と、PwCのガバナンス・インサイト・センターを率いるポーラ・ループは言う。2005年から2015年の間で、女性の取締役は全体で5%増加しているが、男性はまだ、取締役会のジェンダーの多様化がビジネスを後押しするという確信を抱いてはいないのだ。

多様性の向上を目指す人の多くが口にするのが、十分な資質がある人材がいないという主張だ。この夏にはフェイスブックがこう主張し、議論が巻き起こった。PwCの調査では、「多様なバックグラウンドを持ち、資質のある人材は十分にいる」と考えている女性は93%、男性はわずか64%だった。

この差が、取締役の採用に影響を及ぼしている可能性がある。新たな取締役を採用する最も一般的な方法は、既存のメンバーが仕事上の人脈をたどるという方法だ。「男性の取締役の人脈には、あまり多様な候補者が含まれない可能性がある」とループは言う。

彼女は、取締役会がヘッドハンティング会社や投資家の推薦、公共のデータベースなどのようなリソースを活用し、新たな候補の対象範囲を拡大することが重要だと指摘する。PwCの調査によれば、2016年はこうした投資家の推薦や公共データベースの利用数が増えており、これは前向きな変化だとループは考えている。

新たな取締役の候補者を探す上で、もう1つ重要な要素が、候補者の過去の経験だ。ループ曰く、「CEO経験者ばかりに重点を置いていると、多様性のある候補者はなかなか見つけられない」。S&P500指数の構成企業の中で、女性のCEOは全体のわずか5%だからだ。それよりも候補者たちがキャリアの中で何を達成してきたが重要だと彼女は言う。

「大規模なグループや部署を運営した経験や、企業戦略を推進した経験を持つ人材、あるいは特定のテーマについて豊富な専門知識がある人材を探すといいだろう」

編集=森 美歩

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