【対談】ISAK小林りん x ビズリーチ南 壮一郎 vol.3「経営者としてのスタンス」

ビズリーチ 南壮一郎 代表取締役社長


小林:わかる(笑)。苦労した点、私もあまり思い浮かばないです。基本的に外敵に強いタイプなので。

許認可が下りないとか資金が集まらないとか、いろんなことがあって開校が年単位で遅れて、周りから見たら悲惨な状況が続いていたと思います。でも、私自身は全く苦ではありませんでした。いつか必ず開校できるだろうと信じていましたから。

南:きっと、りんさんも僕も、まだ挑戦してから10年に満たず、それぞれの業界や会社の歴史という観点でみればまだまだ旅を始めたばかりなので、これから本当に大変な時期がお互いやって来るのではないかなと。その苦労を、社内外の仲間とともに乗り越えていく場面こそが、今後の仕事の醍醐味になっていくと思っています。

小林:松下幸之助さんの言葉で「成功する人は諦めない人だ」というものがありますが、ISAKに限って諦めないことだけは自信があったんです。なぜなら、自分の大好きなことをやっているから。自分が経営者になって良かったと思うのは、他人にやらされていることではなく自分が心底信じていることに打ち込める点ですね。

もう一つ良かったのは、自分が組織のトップにいると、ワーキングスタイルの定義ができる点です。私は4〜5年前に、第一子の後追いが顕著になったのをきっかけに働き方を大きく変えましたが、これは自分が経営者だからできたこと。「17時以降は働きません」という働き方は、雇われていたら通用しないと思いますが、経営者であれば自分で調整できます。トップになったメリットだなと感じましたね。

だから、女性はどんどん起業すれば良いと思っているんです。自分が経営者なら、ワークライフバランスは自分で決められますから。

ISAKは女性職員が多くて、抱っこ紐で赤ちゃんを抱えて授業をしている先生もいます(笑)。私も、大臣が出席する政府の委員会に子供を抱えて出たこともあります。職員たちは私の働き方を見て、ここなら子育てしながらでも柔軟に働くことができるという雰囲気を感じ取ってくれているんでしょう。

aaz

地域を巻き込んだ新しい取り組みも

:ISAKの立ち上げ当初、資金が思うように集まらなくてりんさんが毎日のように支援者への説明を繰り返す姿を見てきましたが、最近は「ふるさと納税」を活用した寄付も募集されているんですよね。一般の方からも気軽に支援してもらえる素晴らしい取り組みだなと感じました。

小林:軽井沢町へのふるさと納税は、使い道として指定教育機関への寄付を選べるんです。それでISAKを選んでいただくと、金額の95%が奨学金に充てられます。もともとは納付額の1/3が軽井沢町の教育行政へ振り分けられる仕組みだったんですが、軽井沢町のご厚意でISAKへの割合を引き上げていただきました。

:僕も個人的にふるさと納税を通じてISAKへ寄付させてもらっていますが、誰でも自分のできる範囲で教育を支援できるのは素晴らしいシステムですね。

谷本:ISAKにふるさと納税すると、どのような特典があるんですか?

小林:牛肉やお米などの返礼はご用意できていないのですが(苦笑)、学校から生徒たちの生の声をお手紙にしてお送りしたりしています。ありがたいことに、昨年は寄付金によって82人分の奨学金を出すことができたんです。今秋からはご支援いただいた方に実際にキャンパスへいらしていただいて生徒たちと交流できるイベントも実施しています。

構成=筒井智子 モデレーター=谷本有香 写真=藤井さおり

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事