その結果、本来マインドフルな人はこうした画像をみても、脳に活発な反応が見られず、すぐに元通りの活動の状態に戻った。また、瞑想をしたグループも、こうした人たちと同様、反応が抑制されていることが確認された。
しかし、ただ「今この瞬間にとどまる」ことがマインドフルネスな状態になる方法だという説明を受けただけの人たちからは、こうした結果は見られなかった。
こうしたことから、マインドフルな状態は自ら「強制して実現できるものではない」と考えられることが分かった。論文の主著者であるジェイソン・モーザー助教は、「私たちが得た脳に関するデータは、20分ほどの瞑想により、人間の情動的な脳活動は大幅に抑制されるということが示された」と説明。
さらに、「画像を『マインドフルに見る』よう伝えても、脳活動に変化はなかった。つまり、否定的情動を即座に排除するためには、瞑想を行う方が効果的だということをデータが示している」と述べている。
違いはどこから?
こうした違いはなぜ生まれるのだろうか?それは、「意識的に」または「明らかに」マインドフルになることが難しいためかもしれない。自然に、無意識のうちにマインドフルネスな状態に導いてくれる瞑想をすることによって、その状態を目指す方が良いということかもしれない。
モーザー助教によれば、違いが生まれる理由は恐らく、いくつもある。そして、今この瞬間にマインドフルであるということは、実際には初心者にとっては難しいことだ。そのため、「マインドフルではない人たちが否定的情動をコントロールし、マインドフルになるためには、言葉で指示をうけながら瞑想してみる方が効果的だと考えられる」という。
「短時間でも静かに座って指示(または録音された指示)を聞きながら瞑想を行った後では、初心者でもすぐに、ほとんど苦労することなく情動をコントロールできるようになる」
自分が「マインドフル」ではないと思うのであれば、短時間の瞑想を試してみてはどうだろう。今回の調査から分かったとおり、マインドフルネスは幸いなことに間違いなく自分で習得することができるものだ。