フット・カーディガンは事業を開始して以来、成長を続けている。2013年に25万ドル(約2,580万円)だった年間売上高は、翌年には75万ドル(約7,760万円)に増加。デルーカはこうした好調ぶりを受け、このビジネスは副業にとどまるものではないと確信。勤めていた広告代理店をやめ、靴下の販売に専念することにした。だが、事業を拡大するためには資金の調達が必要だった。
そこで、デルーカは2015年10月、最高技術責任者(CTO)のマット・マクラードと共に、起業家が大物実業家などに自らのビジネスを売り込み、投資を呼び掛ける米ABCテレビの番組「シャークタンク」に出演。審査員たちに、フット・カーディガン株の10%と引き換えに25万ドルを出資してほしいと呼び掛けた。
この時、実業家マーク・キューバンなどが同社への投資に関心を示したものの、最終的な合意には至らなかった。だが、「無料の宣伝」には価値があった。2015年の売上高は250万ドル(約2億5,860万円)に急増したのだ。
顧客に関する知識が強み
フット・カーディガンは定期購入のシステムを導入する以前から、通常のネット通販を行っていた。そのため、顧客の購入パターンやブランド関与などに関する情報を持っていた。現在は、これらの情報と共に定期購入分の 商品の発送記録を管理し、顧客に同じ靴下が二度届かないようにしている。
ペンシルベニア大学ウォートン・ビジネススクールのマーケティング学部長、エリック・ブラッドローは、「定期購入システムの導入を検討しているどの企業にも、(同社のように)顧客について学ぶことを勧める。顧客へのアクセスがあり、好みを知っているという点は、その企業にとっての強みだ」と話す。「企業は顧客との取引を繰り返す中で、他社よりも多くの情報を得ることができる」
同社は今後、個別に販売する靴下のデザインを増やしていく計画だ。ブラッドローによれば、それらは同社に新たな収入源と持続可能性をもたらすと同時に、顧客の関心を維持するものとなる。さらに重要な点は、同社が顧客に関する知識をさらに深める機会を得ることだという。