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2016.07.17 11:00

人工甘味料には「増量」効果? 脳への影響が原因か

人工甘味料 photo by David McGlynn / gettyimages

人工甘味料 photo by David McGlynn / gettyimages

人工甘味料については近年、数多くの科学的議論が行われている。減量の役にはあまり立たないという事実がその一因だ。むしろ人工甘味料は体重増加を招く可能性がある。2014年のある研究ではその理由として、人工甘味料が腸内細菌を変化させ、糖代謝の異常を引き起こすと示唆した。

そして今回新たな研究で、人工甘味料が脳に悪影響を及ぼす可能性が示された。これはミバエとマウスを使った研究の結果だが、人間にも同じような現象が起こるかもしれない。

シドニー大学が実施、医学誌セル・メタボリズム(Cell Metabolism)に発表された研究では、ミバエに砂糖またはスクラロース(人工甘味料)を加えた食べ物を与えた。これを長期間(5日以上連続)続けた結果、人工甘味料入りの餌を食べたミバエは、天然甘味料入りの餌を食べたミバエよりも30%多くのカロリーを摂取した。

その後マウスを使って同様の実験を行い、一定期間後に両方のグループに本物の砂糖を与えたところ、マウスの脳の反応に違いがみられた。スクラロースに慣れたマウスは、砂糖に慣れたマウスよりも脳内で活発な反応があったのだ。これは、人工甘味料に慣れたマウスにとって、砂糖がより甘く感じられた可能性を示唆している。

「スクラロース入りの餌に慢性的にさらされたミバエとマウスは、その後より多くの量を食べるようになった」と、研究報告の著者グレッグ・ニーリーは言う。「これについて体系的な調査を行った結果、脳の報酬系の中で甘さに対する興奮とエネルギー含量が結びつけられることが分かった。甘さとエネルギーのバランスが一定期間崩れると、脳が再調整を行い、総摂取カロリーが増える」

言い換えれば、脳はカロリーのない甘さを認識すると(天然の食品だと甘いものはカロリーも高い)機能がやや狂い、それに合わせて再調整を行うのだ。「飢餓状態の時に、栄養豊富な食べ物の方がより美味しく感じられるのと同じ反応だ」とニーリーは言う。ミバエには活発過多や不眠症、耐糖能異常などそのほかの「症状」もみられた。

マウスを使った同様の実験でも、同じような現象が確認された。これは昆虫から哺乳類までのさまざまな種に同じ現象が起こることを示唆している。そして人工甘味料が人間に及ぼす影響についての、これまでの研究を考慮に入れると、マウスに起こる現象はおそらく人間にも起こる―少なくともその可能性が高い。
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編集=森 美歩

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