ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のシャオビン・ワン教授率いる研究チームは最近、米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学」に研究報告を発表。母親が妊娠中、血中葉酸濃度が低かった(1リットルあたり約20ナノモル未満)子どもは、より肥満になる可能性が高いとの所見を示した。
これはボストン出生コホート調査の一環として、主に低所得で少数派民族の母子1,500組以上について追跡調査を行った結果から導き出されたものだ。母親の葉酸レベルと子どもの肥満リスクの関係は、母親が肥満の場合もそうでない場合も同じだった。母親が肥満でも血中葉酸濃度が適切(少なくとも1リットル中20ナノモル)であれば、子どもが肥満になるリスクは43%減少した。
したがって、妊娠中の女性は十分な葉酸を摂取しなければならない。だが過剰に摂取しては駄目なのだろうか? ボストン出生コホート調査のデータを分析した別の研究では、分娩時に母親の血中葉酸濃度が推奨レベルの4倍以上だった場合、正常値の母親に比べて子どもが自閉症スペクトラム障害になるリスクが2倍だった。
しかしこの研究は、まだ論文審査のある専門誌に発表されておらず、葉酸の摂りすぎが自閉症につながるかどうか、まだ結論は出されていない。それでもこの研究所見は、「何事もほどほどが大事」という昔からの格言を裏付けている。
では、葉酸とは何なのか。ビタミンB9やフォラシンとしても知られる葉酸は、水溶性のビタミンB群の一種で、DNAやその他の遺伝物質の合成や細胞分裂などに必要なものだ。
細胞の機能にとってきわめて重要であることを考えれば、葉酸の有無が子どもの代謝に影響を及ぼし得るという説明は説得力がある。米国立衛生研究所(NIH)では、葉酸を豊富に含む食品として以下のものを挙げている。