4.アイデンティティーから生まれる忠誠心
ポケモンGOの中毒性には、ユーザーに帰属意識や忠誠心を生み出すアイデンティティーの要素が絡んでいる。まずユーザーが感じるのは、ノスタルジーだ。米国の20代の多くが、子供のころポケモンに熱中していた。ポケモンGOは、そういった人々が1996年の初代ポケモンを初めてプレーしたときの気持ちを思い起こさせてくれる。
次にくるのが、忠誠心だ。ゲームの中でプレーヤーは、3つの対立するチームのいずれかに参加しなければならない。あるチームに所属して勝敗を争う経験は、スポーツファンが自分のチームの応援に熱狂するのと同様、ユーザーをゲームに没頭させる。
5.大規模広告は必要なし
リリース前にポケモンGOの広告を目にした人は、おそらくゼロだろう。映画館の動員数を増やすためにこれでもかと押し売り広告を繰り返すハリウッド大作とは違い、ポケモンGOは大々的な広告を打たなかった。宣伝が必要なかったからだ。
筆者がここで挙げたマーケティングと口コミの効果を広告責任者が熟知していたのか、あるいはここまでの大ヒットを予想していなかったかのどちらかだろう。筆者は前者だと考えるが、ここでのポイントは、効果的なマーケティングに膨大な広告予算は不必要だということ。大事なのは、人々を「つなぐ」戦略だ。
6.続けたくなる仕組みづくり
顧客忠誠度を高めるには、自社製品を使い続けているユーザーの恩に報いなければいけない。ポケモンGOでは、レベルアップやジムでのバトル、新しいポケモンの捕獲、そして単に歩くだけでも、ボーナスやインセンティブが得られる。レアなポケモンを見つけたり、激しいバトルに勝利したりすれば、ユーザーのやる気は高まり、その他の比較的単調な作業も苦ではなくなる。
プレーし続けることで絶対に得られる報酬があってこそ、ユーザーはゲームを続けてくれる。時に他の用事を犠牲にしてまでも、だ。