まず、医学研究に利用されるソフトウェアそのものに関する研究が十分に行われていなかった。ソフトウェアの改良の方法や、新しいものの開発についても、研究されていなかった。
第二に、科学文献はすでに発表されている研究結果の再現実験を掲載したがらない傾向がある。そして同時に、出資者がそうした研究への支援に積極的ではない点が挙げられる。つまり、研究結果が一度公表されてしまえば、その内容を他の研究者が確認したり、再検証したりしようとする動きを後押しするものはないということだ。
誤っている可能性がある4万件近い研究結果について、今後どうするのかは明らかにされていない。これらの研究結果のどの程度までを、私たちは信頼することができるのだろうか。
結果を誰が確認するのか、研究のやり直しは、誰が担当するのか。そして、一連の問題について誰が補償するのか。さらに、ソフトウェアの欠陥は今後、どのような予期しない結果を招くのだろうか?
この問題は今後、より大きな問題へと発展する可能性がある。そのとき対応に必要となるのは、私たち人間の脳の中の、一体どの部分なのだろうか。