中国人の海外旅行者数、海外留学生、そして世界の中国人コミュニティがかつてない規模になり、中国人消費者は重要なグローバル集団となった。
「爆買い」の年間支出は22兆円
2015年、中国人旅行者の消費額は前年比53%増の2,150億ドル(約22兆円)だった。多くの人にとって休暇プランの柱は買い物であり、旅行市場調査会社は「中国人の海外旅行者は航空券や宿泊、食事よりも買い物に多くの金を使う」と分析する。
ホテルチェーンやモールが中国語を話せるスタッフを雇うなど、企業は中国人のニーズの増大に対応している。米ライドシェア企業リフト(Lyft)は中国のディディ・チューシン(滴滴出行)と提携し、中国人旅行者が米国でディディ・チューシンのアプリを通じて、リフトのドライバーを呼べるようにした。
海外留学生数でも圧倒的1位
単なる海外旅行ではなく、仕事のために海外に定住したり、教育のために数年間滞在したりする中国人も増えている。2012年のユネスコのデータによると、世界の海外留学生数ランキングで中国は1位で、69万9,400人。2位のインド(18万9,500人)を大きく引き離した。(3位は韓国で約12万人、4位がドイツで約11万7000人、5位がサウジアラビア約6万2500人、6位がフランス約6万2400人の順)
中国からの留学生と移民は、故郷の友人や家族に海外ブランドや製品を紹介する役割を果たす。中国の若い母親たちは米国やヨーロッパの最新のブランド、健康のトレンドについて、海外在住の友人の情報に頼ることが多い。
WeChatやWeiboで数百万人のフォロワーを持つオピニオンリーダー的な海外在住の中国人もいる。彼らは商品を売ったりサービスを宣伝したりし、中にはその人気によって、ベンチャーキャピタルから資金を得る者すら出ている。
同時に、既存の社会の価値観も海外に住む中国人消費者の好みに影響を与えている。中国人男性の成功は、現状では「家」や「妻」、「息子」や「車」の所有と考えられている。ニューヨーク、バンクーバー、ロサンゼルス、ロンドンなど主要都市での中国人の不動産購入が急増し、留学中の住まいとして即金で一軒家を買う富裕層すらいる。
中国人消費者をターゲットにする海外企業は、北京や上海に拠点を構えるという従来のやり方から変化を求められている。中国人はもはや一国の消費者セグメントではなく、独特なニーズを持つグローバルな集団になりつつある。