ベントレーが彩る洗練された暮らしとビジネス

Bentley Flying Spur V8

その車に乗ることで、自らのライフスタイルにおけるこだわりを表現できるクルマというのは、実は数少ない。ベントレー「フライングスパーV8」はビジネスに、生活に、どのような華をもたらすのか。グローブ・トロッター アジア・パシフィック株式会社 代表取締役の田窪寿保が綴る。

子供の頃を思い出して欲しい。大人になったら、どんなクルマに乗りたいと思っていただろうか。恐らく、ベントレーという名前は挙がらなかったに違いない。大人になると、いいことも悪いことも色々と覚えるようになる。もし、ちゃんとロールス・ロイスとベントレーの違いがわかるような大人になっていたら、それはそれは素晴らしい大人の証明である。

ベントレー。これほどまでにわかりづらい高級車はないと思う。巷で語られるのは、ビジネスで成功したエグゼクティヴがショーファー付きで乗るイメージだろうか。もしくは、お金持ちがステイタスを誇示する象徴として乗っているイメージだろうか。

確かに、「フライングスパー」を前にすると、成功者のためのクルマという匂いがプンプンする。馥郁たるレザーの香りが立ち込める車内は、上質で洗練された空間で、座っているだけで優雅な気持ちになる。子供の頃は想像もできなかった世界が、そこには広がっている。大人だけがその価値を知る空間なのだ。

かつて子供だった昔、いつか乗りたいと憧れたクルマは、いわゆるスーパーカーだったかもしれない。道行く人も振り返るエキゾチックなスタイルに、レーシングカーに勝るとも劣らない高性能。ベントレーとは、まったく違う世界のように思われるに違いない。だが、果たして本当にそうなのだろうか。

1920年代。ベントレーはまさしくスーパーカーであった。ルマン24時間レースに総合優勝5回という快挙を成し遂げ、ベントレーボーイズという、誰もが憧れる名称で呼ばれた時代である。かのジェームズ・ボンドも、イアン・フレミングの原作では、グレーのベントレーを愛用しており、「アストンマーティン」は影も形もない。つまり、それだけ誰もが憧れるクルマだったのである。翻って現代。あまり知られてはいないが、今もベントレーボーイズたちはサーキットで健在だ。GT3というクラスで戦うベントレーたちには、街角で見かけるお金持ちのためのクルマというイメージは微塵もない。

ビジネスもある意味、レースのようなものである。だが勝利のために闘志を剥き出しにするなんてことは、品格のあるジェントルマンがすべきではない。ベントレーも同じである。ひとたびサーキットに放てば野獣のような性能を発揮するマシンを、仕立ての良い上質なスーツで包むその余裕。これこそ非常に英国紳士的であり、大人だけが知る洗練というものである。後席ではなく、ぜひベントレーのステアリングを握ってもらいたい。「洗練」とは、鍛えられて生まれるものだということが、おわかりいただけるだろう。

田窪寿保◎1966年東京都生まれ。グローブ・トロッター アジア・パシフィック代表取締役、英グローブ・トロッター本社取締役副社長。2016年3月31日、東急プラザ銀座1Fに日本初の旗艦店「グローブ・トロッター銀座」を出店。

Bentley Flying Spur V8
エンジン型式 : 4.0リッター・ツインターボチャージドV8
全長 : 5,315mm
全幅 : 1,985mm(ミラー除く)
全高 : 1,490mm
価格 : 19,450,000円
問い合わせ : ベントレーコール 0120-97-7797

文=田窪寿保

この記事は 「Forbes JAPAN No.23 2016年6月号(2016/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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