「メディア潰し」批判のピーター・ティール、FB取締役に再任

Photo by Neilson Barnard/Getty Images for New York Times

フェイスブックは6月20日、定時株主総会で「米ゴーカー・メディアを経営破綻に追い込んだ人物」として批判が集中している著名投資家、ピーター・ティールの取締役再任を可決した。

ティールは元プロレスラーのハルク・ホーガンがゴーカー・メディアに対して起こした訴訟に密かに資金を提供し、大きな批判を浴びていた。米「ギズモード」等を運営するゴーカー・メディアは、ホーガンのセックス動画を公開した件でホーガンにプライバシー訴訟を起こされて敗訴。多額の賠償金の支払いを命じられ、経営破たんに追い込まれた。

ホーガンの裁判費用を援助したのが、かつてゴーカーに自身がゲイであることを暴露されたティールだった。ティールはゴーカーに対し、個人的恨みを抱いていると見られていた。

株主総会の質疑応答ではティールやゴーカー・メディアとの関係についての質問は出ず、マーク・ザッカーバーグCEOもティールの再任については言及しなかった。

「カネの力で報道を潰した」と批判が集中

ティールの再任は予想されていたが、フェイスブックにとっては微妙な時期の判断となった。同社は現在、ニュース配信の分野において「オープンで信頼できるプラットフォームである」と世間にアピールしている最中だ。ティールの行動は「金持ちは自分に都合の悪いメディアをカネの力でねじ伏せられる」という印象を与えかねないと批判する声もある。

シェリル・サンドバーグCOOは以前のインタビューで、ティールの行動は「個人的なものであり、フェイスブックの取締役として行ったわけではない」と弁明。取締役に残留させる意向を示していた。

しかし、全米脚本家組合は「気に入らないメディアを黙らせようとするような人物は、何千万人もの人々にニュースを読ませる企業の取締役を務めるべきでない」として解任を要求していた。

フェイスブックに初めて出資した機関投資家でありペイパルの共同創業者であるティールは、2005年4月から同社の取締役に就いている。ザッカーバーグがドイツの出版社アクセル・シュプリンガーから賞を受賞した際には、ザッカーバーグを讃えるコメントを発表していた。

「フェイスブックはテクノロジーを用い、人々が主役になれる世界を取り戻しました。コンピューターを活用することで人間関係を高め、人々が中心となる世界を取り戻させたのです」とテッククランチに対し語っていた。

ティールは今回の株主総会には出席しなかった。ティール以外にもベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンや、ネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEOを含む7人の取締役が再任された。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事