ビジネス

2016.06.05

スタンディングデスクより「柔軟なデスク環境」で生産性アップ

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立って仕事をするためのスタンディングデスクは、この数年かなりの注目を集めている。確かに何時間も座りっぱなしは良くない。だがその代わりに一日中立っているのがいいかと言えば、それを証明する研究結果はない。問題はそれほど単純ではないのだ。

しかし、新たに発表された研究報告は、この問題にもう少し実際的な意味を持たせるものかもしれない。今回の研究によれば、少なくとも生産性については、座りっぱなしか立ちっぱなしかが重要ではない。大事なのは、その人に合うように双方を組み合わせる柔軟性だ。一日中座ったり立ったりしながら仕事をすること、しかもどの組み合わせが一番効果的かを割り出せるよう長期間にわたってそれを行うことで生産性は向上する。

テキサスA&M大学ヘルス・サイエンス・センター公衆衛生学部のチームが実施したこの研究では、コールセンターで働く従業員およそ170人を2つのグループに分け、6か月にわたって生産性を検証した。

片方のグループは一日中座って仕事をし、もう一方のグループはデスクの高さを自由に変えて立っても座っても仕事ができるようにした。すると6か月後までには、後者は前者に比べて46%生産性が増した(生産性は各従業員が1時間あたりに終わらせた、上手くいった電話の数と定義)。

注目すべき重要な点は2つ。まず、2つのグループの生産性には大きな差が出たが、座っている時間と立っている時間の差は意外と小さかった。デスクの高さを自由に変えられるグループの従業員が座って仕事をした時間は、座りっぱなしで仕事をしたグループよりも平均でわずか1.6時間短いだけだったのだ。

次に、生産性に差が出始めたのは、調査を始めてまる1か月経ってからだった。被験者たちが立って働くことに慣れ、また自分にちょうどいいバランスを見つけるまでにはそれだけの時間がかかったのだ。

研究ではまた、従業員が感じる不快感についてもデータを収集。「高さを自由に変えられるデスクで仕事をしている従業員の75%近くが、6か月間このデスクを使った後、体の不快感が減ったと感じた」ことを発見した。これもまた、立ったり座ったりを組み合わせるスタイルに慣れるのに、しばらく時間がかかることを裏付けている。すぐに体が慣れるとは思わないことだ。
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編集=森 美歩

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