「大型計画」があるのは確実?
ただ、長年にわたってアップルの動向を追ってきたヒューバーティによれば、新製品を発表する前の同社のR&D向け支出の動向をみると、iPhoneとiPadの発表前には10億ドル、iWatchの発売前には20億ドルを支出していた。アップルは過去2年の売上高が37%の増加にとどまった一方で、R&D投資は80%増やしている。これをみれば同社が現在、何か大きなことに取り掛かっているのは明らかだ。
アップルは5月初め、中国の配車サービス「滴滴出行(ディディ・チューシン)」に10億ドルを出資したと発表した。これにより、すでに配車サービスのウーバーに出資しているグーグルとの競争が始まったことになる。
アップルとグーグルはどちらも、デジタルを通じて私たちの生活を変えようとしている。それには自宅や電話、そして車に関する変化も含む。そして両社はいずれも、私たちが電話も車も所有せずに暮らせるモデルを思い描いている。それが実現すれば私たちは、提供されるそれらのサービスにただ加入すればよくなるのだ。
こうした両社の方針は、自動車メーカー各社の間の激しい競争を招いている。各社は配車サービスとの提携を進めており、GMはリフトに5億ドルを出資。そのほかフォルクスワーゲンはイスラエルのゲット(Gett)に、トヨタはウーバーに出資した。
配車サービス各社は、自動車メーカーが生産する製品なくしては存在すらできない企業だ。しかし、資金力豊富なアップルが配車サービス市場への参入に向けて準備を進めているとすれば、自動車各社はそれを無視することはできないだろう。さらに問題なのは、自動車業界にはアップルを止めることなどできそうにないということだ。