トヨタでは既に、バイクと車の中間に位置するiRoadのようなパーソナルモビリティを開発しているが、より多くの人を助けるためには移動そのものを手助けする分野に踏み込む必要があると感じていたという。
そうした考え方から生まれたのが、視覚障害者向けウェアラブルデバイスの開発を行うプロジェクトBLAIDだ。同デバイスは馬蹄型で、肩にかけるとカメラやGPSテクノロジーを使って、たとえばトイレのある方向などを音声で伝えてくれる。顔認識テクノロジーも装備されており、近付いてくる友人を認識することも可能だ。
こうした取り組みを行っているのはトヨタだけではない。ホンダでは、人々の移動を手助けするパーソナルモビリティUNI-CUB(電動一輪車のようなもの)を開発。ヒューマノイドロボットASIMOで培った歩行理論をもとにつくった歩行アシストデバイスも販売している。
「トヨタなど多くのメーカーは、モビリティとは何を意味するのかという難題に頭を悩ませている」と、ロンドンに本社を置くブランドコンサルタント会社Interbrandのジェズ・フランプトンCEOは言う。
「単なる自動車メーカーとしてではなく大局を見て、自社ブランドを何に生かすことができるかを自問しなければならない。我々はそれをブランド拡張と呼んでいる。より幅広いサービスを提供する方法を模索する彼らの姿勢は100%正しい」。