報道によるとアップルミュージックの公開当初、担当者らは「何が何でも有料会員数1億人を達成する」と息巻いていたという。しかし、いざサービスを開始するといくつもの課題に直面し、それが現実離れした目標であることが浮き彫りになった。
使い勝手の悪さが原因、説も
ユーザー数が1億人を大きく下回った理由の一つは、アップルらしからぬデザインの乏しさにある。アップルミュージックにはアップルのデバイス特有の美しさや機能性が全く感じられず、使い勝手が悪いと酷評されていた。数日前、同社は1周年を待たずしてデザインの全面改修を行うことを明らかにしたが、これほど早くリニューアルに踏み切るのは、デザインの不人気がユーザー獲得の阻害要因になっていることの証だ。
アップルが苦戦しているもう一つの要因は、音楽ストリーミング業界の市場規模だ。音楽ファンは大勢いるが、大半の人は月額料金を支払いたくないと考えている。何百万もの人が定額音楽配信サービスを利用したことがなく、最大手のプラットフォームですら有料会員数が1億人に達していていないのだ。
つまり、問題はアップルがSpotifyやPandoraからユーザーを奪うことができていないことではなく、定額音楽配信サービス市場がまだ小さく、一社で1億人ものユーザーを獲得できるほどの規模に育っていないということだ。それでも市場は年々拡大を続けており、Spotifyのユーザー数はアップルが掲げる目標に近づきつつある。ただ、Spotifyの場合は無料プランがあり、大半のユーザーは料金を支払っていない。同社のダニエル・エックCEOは、数か月前に有料会員数が3,000万人を突破したことをツイッターで明らかにした。業界では圧倒的な首位だが、それでも1億人には程遠い。
アップルが目標1億人を掲げたとき、Spotifyのように何年も前からサービスを展開している大手ですらユーザー数がその四分の一ほどしかなかったことからも、アップルのゴールがどれほど途方もないものであるかがわかる。アップルはいずれ目標を達成するかもしれないが、それは当分先のことになるだろう。