4月21日、ウーバーは2件の集団訴訟での和解をアナウンスし、まず8400万ドル(約92億円)を原告らに支払うと発表した。また、仮定の話として、ウーバーが今後IPOを行い、上場後1年以内に2015年12月時点の企業価値の1.5倍に達した場合は、さらに1600万ドル(約17億円)を支払うとしている。
ウーバーは最大で1億ドル(約109億円)を原告らに支払うことになる。途方も無い金額だが、これにより同社はドライバーらを引き続き、独立契約者の地位に保ったまま事業を継続できることになる。つまり、ウーバーはドライバーに最低賃金を保証する必要が無く、失業保険等の福利厚生負担を負う必要も無い。
ただし、企業価値600億ドル(約6兆6000億円)のウーバーは、和解と引き換えに、いくつかの譲歩に応じている。手始めに、ウーバーはドライバーの評価をどのように行っているかの情報を公開し、乗務停止を命じる際の明確な基準の提示を行う。同社はまた提訴を受けた2州において、同社の資金により組合を設置し、四半期ごとにドライバーらと話し合いの場を持つことに合意した。
同社の公式ブログでCEOのトラビス・カラニックは、なだめるような口調で次のように述べた。
「ウーバーは成長をとげ、米国では毎月45万人以上のドライバーがアプリを利用しています。しかし、これまで我々はドライバーとの関係を良好に保ってきたとは言えません。ウーバーはドライバーに乗務停止を求める際のポリシーを明示しておらず、そのプロセスも不明確でした。会社がここまでの規模に達した中で、これは十分な対応とは言えません。今こそ変革の時であるとの結論に達しました」