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カリスマファンドマネージャー「投資の作法」

Photo by Christopher Jue/Getty Images

円高の進行とデフレ復活の懸念が強まるなか、放たれた“黒田バズーカ第3弾”。「マイナス金利の負の面ばかりでなく、その利点にも目を向けるべき」と筆者、藤野英人は説く。

日本銀行が、これまでの「量的・質的金融緩和」一本槍を変えて「マイナス金利」という変化球を繰り出した。短期的に円安・株高へ向かったものの、そのあと大幅に下落したので、「マイナス金利は失敗だ」という意見が識者に多い。だが、数日の株価の動きでマイナス金利の成否を決めるのはあまりに性急だろう。

まずは、今回の日本株の下落の要因について考えてみたい。日本株は2016年の年初から鋭く落ちた。新興国も先進国も同様に下降している。要因はさまざまだ。下げ止まらない原油価格に、中国の景気減速や株式市場の下落、元安傾向、アメリカの利上げ、そして日本の円高……。それらが世界市場の“リスクオフ”の流れを作ったと考えられている。

ただ、私は日本独自の事情もあると思う。それは「循環的な景気後退期」に入ったということだ。景気は生き物なので、良くもなれば悪くもなる。アベノミクスもこの循環的な景気回復に助けられた側面が強い。

アベノミクスの支持派、否定派のいずれもその影響力を過大評価している。もちろん影響はあったが、それ以上に循環的な景気変動の要素が大きかった。日本の為替も民主党政権の野田佳彦前首相が解散を宣言する約2か月前から円安に移行している。アベノミクスが始まる前からだ。

では、なぜ円安に向かったのか。それは、貿易収支が大幅なマイナスになった点が大きい。景気悪化や原発の稼働停止による原油の輸入増、原油価格の上昇などが貿易収支の悪化を生み、円安を導いた。

そして、この円安が日本株に著しく影響した。日本の大型株は輸出企業に多く、円安が輸出競争力を直撃したからだ。そこへ黒田バズーカが加わり、円安を促進して日経平均株価の上昇へとつながったのである。

しかし今、為替は逆回転している。日本の景気回復や原発再稼働による原油の輸入減への期待、および原油価格の下落が主な要因である。それらが、円高に拍車をかけているのだ。

外需では、世界的な景気悪化が大きな要因となっている。中国の景気後退やアップルのiPhone 6sの不発などが原因で電子部品の需要が縮小している。世界経済を牽引してきたスマホ景気が頭打ちになってきた。

内需は日本の消費が軟調だ。特に“プチ贅沢”の流れが弱まり、節約志向が台頭してきている。それにより、安いものを求める“デフレ経済”が再び萌芽しつつある。15年10〜12月の景気は年率1.4%のマイナスになったが、これはアベノミクスの失敗というより、日本が循環的な景気後退期に入ったと考えるほうが自然だ。

文=藤野英人

 

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