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2016.04.14 10:01

ディズニー映画の7割で「男尊女卑」の傾向 米研究者が発表

canbedone / Shutterstock

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アメリカの映画業界では最近、俳優の多様性に関し、議論が白熱している。アカデミー賞は白人偏重であるとして、映画監督のスパイク・リーやマイケル・ムーア、俳優のウィル・スミスらが授賞式をボイコット。また、授賞式当日には、司会を務めた黒人コメディアン、クリス・ロックが披露したアジア系アメリカ人をネタにしたジョークが非難を浴びた。これらは、業界がいかに差別的であるかを示すほんの一例に過ぎない。男女間の格差もまた、依然として大きい。最近行われた調査では、男優と比べると女優はセリフがはるかに少ないことが明らかになった。

8,000本の映画をデータサイエンティストが調査

データサイエンティストのマット・ダニエルス(Matt Daniels)と、ソフトウェア開発者のハナ・アンダーソン(Hanah Anderson)は、8,000本の映画のセリフを調べ、最終的にはそのうち2,000本の映画のセリフを、男女別に集計した。セリフの分析としては、過去最大規模といえそうだ。

映画業界には、ベクデルテスト(Bechdel Test)というジェンダーバイアスを測定するためのテストがある。ダニエルスとアンダーソンは6週間をかけて、出来るだけ多様な映画を診断した。

今年1月、言語学者らによって「ディズニープリンセスの映画は、女性より男性の方がセリフが多い」という調査結果を発表した。ダニエルスとアンダーソンはピクサー映画も含め30本のディズニー映画を分析。その結果、73%のディズニー映画は、女性より男性のセリフの方が多いことがわかった。

『ムーラン』のように、女性が主役の映画でさえ、セリフの数では男性がリードしている。調査によれば、ムーランの守護竜、ムーシュー(声:エディ・マーフィー)は、ムーランより50%セリフが多い。

2人が調査したデータを見ると、男性優位ではない映画ジャンルは稀だ。ロマンティック・コメディは、全セリフの58%が男性のものだ。『プリティ・ウーマン』と『恋のからさわぎ』はどちらも主人公は女性だが、脇役の男性キャラクターを含めると、どちらの映画も全セリフの52%が男性から発せられている。

今回の調査から、年齢によるセリフ数の格差も明らかになった。「各映画に登場する女優の年齢を見てみると、年齢が上がるにつれ、セリフは減っていく傾向にあります。しかし、男優の場合は、年齢が上がると共にセリフも増えているようです」と、アンダーソンは話す。

女性が一番セリフの多い登場人物(主役)である映画は、たった22%だった。女性は2番目にセリフの多い登場人物であることの方が多く、その比率は34%だ。3人メインのキャラクターが登場するとしたら、そのうち2人以上が女性である映画はたった18%に過ぎず、逆に、メインキャラクター3人のうち2人以上が男性である映画は82%だ。

南カリフォルニア大学の研究チームが発表した「エンタメ業界の人種や性別の多様性に関する研究」によれば、2014年に興行収入がトップ100に入った映画のうち、全登場人物に占める女性の割合は、たった28.1%だ。また、女性が主役、あるいは男性とともに主役を務めた映画はたった21本で、そのすべてが45歳以下の女優だった。

今回の調査は性別に焦点を当てているが、データは俳優別に分類されているため、今後、年齢や人種に焦点を当てて分析することも可能だろう。調査の詳細はPolygraphのウェブサイトで確認できる。

編集=上田裕資

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