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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

新田理恵 {tabel} 代表(岡田晃奈 = 写真)

北海道から沖縄まで、日本中を巡った。探し求めていたのは、「薬草」だ。存在を知らなければ、それは雑草として目に映る。

「地方の方々は、『ここには何もないよー』と言うんです。でも私は、『凄いものなのに、もったいない』と思う。私がよそ者であるからこそ気づくことなのかもしれません」。{tabel}の新田理恵(31)は、そう話す。

ゲットウ、カキドオシ……。無農薬の在来種である薬草を摘み、乾燥させ、焙煎し、缶に詰め「伝統茶」として販売している。洒落た感じで言えば、それは「ハーブティー」になる。でも、新田は敢えて「薬草茶」「伝統茶」と呼ぶ。「嗜好的なニュアンスよりも、自分の健康は自分で選び取る。そんな意味合いを込めたかった」

熊本県の小さな町、菊陽町には、新田が理想とする形があった。人口約3万の町に、ある薬草の専門家が入り普段の生活に薬草を取り入れるプロジェクトなどを進めたところ、5年間で約3億2,000万円の老人医療費を下げることができたという。「日本の医療費は約40兆円もかかり、毎年1兆円プラスされているような状況です。予防医療としてこうした取り組みが全国で広がれば、変わるのではないか、と思いました」

「薬草」に辿り着いた背景には、家族の病気があった。大阪・鶴橋の市場でパン屋を営む家に生まれた新田は、その環境から食べることが何より好きだと感じながら育つ。だが、父が糖尿病を煩ったことで、食に対する考え方に変化が現れる。「人を傷つけてしまう食べ方がある、ということを初めて知ったんです」「食」という漢字は、「人を良くする」と書く。それを体現できるような仕事をしたい—。

管理栄養士を目指し、最終的に薬膳に辿り着く。だが、そこで新たな疑問にぶつかる。クコの実に、松の実。体に良いものを使おうと思ってもそれらの9割が外国産だった。外国産では、生産工程を確認するのにどうしても限界がある。国内でつくられているものにお金を使いたい、という思いもあった。

2015年に起業してからは、商品のパッケージングなどを薬草の生産地で行うことで、地域の雇用を創出したいという思いが強くなる。「八代のはすの葉茶」「奈良高取の大和当帰茶」。商品名には必ず生産地を入れる。「うちの地域にこんな特産品があったとは」。地元の人々のそんな声も聞こえるようになってきた。

地域に埋もれそうになった“誇り”を摘み取りながら、食と医療の距離をぎゅっと近づけている。

にった・りえ◎1984年生まれ。フードコーディネーターを経て2015年1月、{tabel}創業。管理栄養士、国際中医薬膳調理師。FoundMUJI青山、無印良品 有楽町で開催中の企画展「植物と健やかなくらし」で販売されている「国産ハーブのお茶」5種を監修。そのほかのFoundMUJI展開店舗で販売中(4月21日まで)。

文=古谷ゆう子

 

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