部屋をまるごと仮想現実化する「ルームスケールVR」の魅力

Carlos Die Banyuls / shutterstock

HTC Viveの刺激的なデモを体験し、筆者はすっかりルームスケールVRの虜になってしまった――。ルームスケールVRとは、部屋をまるごと仮想現実空間にしてしまうもの。HTCとValve社が共同開発した「Lighthouse」テクノロジーにより、VR空間の中を自由に動けるようになり、筆者のゲームに対する見方は180度変わった。

しかし、ルームスケールVRがHTC Viveのキラー機能であることは間違いないが、ユーザーが自分の部屋のレイアウトを変更してまで遊ぶ価値はあるのだろうか。この点について、オキュラスでゲーム開発を統括するジェイソン・ルービンは懐疑的だ。「Oculus Rift」ではルームスケールVRを提供しないことを明らかにしている。

「一部の人はルームスケールVRを心から欲しがるだろうが、居住スペースにそれだけのゆとりがある人は少ない」とルービンはゲームメディアのPolygonに語っている。

自宅を「まるごとVR空間」に変身させるには

HTC ViveのルームスケールVRに最低限必要となる面積は5フィート×6.5フィート(約3平方メートル)だ。それほど大きなスペースではないものの、頻繁に使うのであればリビングやオフィス、ベッドルームなどのレイアウトを変更する必要があるかもしれない。また、動作可能なスペックのPCを用意することの他に、部屋に鏡を置いてはならない、直射日光が当たってはいけない、衝突を避けるために角の尖ったモノや家具を置いてはいけないといった要件を満たす必要がある。

Viveには「Chaperone」と呼ばれるシステムが導入されており、前面に搭載した小型カメラが室内のモノを認識でき、衝突を避ける。筆者も実際に使ってみたが、現実世界を気にせずにVR体験に没頭できた方が良いと感じた。

かつて友人たちとWiiテニスを楽しんだ際、自宅のリビングルームを片付けたのを思い出したが、個人的には部屋全体をHTC Vive用遊び場として使い、片付けなどの面倒がなくいつでも没頭できることこそが究極のVR体験だと思う。

Viveの価格は799ドルと高額だ。もちろん価格に見合った価値はあるが、大きな投資であることは確かだ。また、ゲームはVR体験の一部にすぎず、バーチャル旅行やセラピー、フィットネス、映画のシーンの中にいるかのような体験ができるショートフィルムなど、VRを応用できる領域は数えきれないほどある。ポルノ業界がVRテクノロジーを導入したら面白くなるに違いない。

このように、今後VRが幅広く応用されてコストが下がり、我々の日常生活に欠かせないものになれば、居住空間をVR仕様にアレンジすることなど大した問題ではなくなるだろう。しかし、そもそもどれだけの人がスペースに余裕があるのだろうか。筆者のように部屋をまるごと使ってVRを楽しもうと考える人もいる一方、ワンルームに住んでいて物理的に不可能だという人もいるだろう。

そこで、筆者はツイッターのアンケート機能を用い、以下のようなアンケートをとってみた。
「あなたが今の住居でHTC ViveのルームスケールVRを体験するとしたら、部屋をまるごと使いますか」

この原稿の執筆時点で、回答者の74%が「使わない」と答えており、「使う」と答えた26%を大きく引き離している。

編集=上田裕資

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