高野: GHITの取り組みは、グローバルヘルスにどのようなインパクトがありますか。
ゲイツ: GHITは設立から3年程度ですが、強いリーダーシップがあり、非常に早いスピードで進んでいる。この点を特に評価しています。参画している製薬各社も誠実で、早急に資金を出してくれました。
彼らが新薬開発の投資対象として着目しているのはNTDsやマラリア、結核、HIVです。これは、日本の科学者も関心を持っている分野で、そこに投資することで、今後のさらなる研究を後押しできます。
2015年に大村智氏がノーベル賞を受賞したイベルメクチンの発見は、日本発の素晴らしい薬の一例です。あのような事例を増やす必要があります。
研究者たちは、感染症の根絶につながる構想を持っています。開発資金のメドが立てば、研究所にあるアイデアを、薬として開発しようという意識が高まります。こうして研究が前進していけば、イベルメクチンのような発明につながると考えています。
高野: グローバスヘルスに関して、日本にどのような役割を期待しますか。
ゲイツ: ゲイツ財団は、研究を進めるための優良なパートナーを探すことを目的に、グローバル規模で活動してきました。日本も重要な地域の一つですが、アメリカ、イギリス、少数ではありますがアジアやアフリカにも研究者がいます。世界中の研究者たちが協力することで、マラリアを根絶したいのです。私が生きている間に、あらゆる感染症をゼロ、あるいはゼロに近い状態まで根絶することを目指したい。そのためには新薬の開発がカギとなります。
GHITを通して、日本の製薬企業を我々の活動に取り込むことができました。これは、感染症の根絶のために世界中の研究者たちが共に取り組む必要性を訴えていた歴代のリーダー達の功績でもあります。
今後のさらなる進展に向けて、日本政府が2016年に、グローバルヘルスの取り組みに賛同し、支援を強化するかどうか注視しています。