数十億ドルを稼ぎ出す商取引のユニコーン、「ジャストファブ」(JustFab)の子会社であるファブレティックスは、ネット販売以外での売り上げ拡大を狙う戦略を打ち出しており、実店舗の運営は実験的な意味合いも持つ。同社がフォーブスの取材に対して明らかにしたところによれば、向こう3~5年の間に75~100店舗の開設を目指しているという。
2015年の同社の売上高は1億5,000万億ドル(約171億円)で、その大半はネット販売によるもの。ブランドの顔でもあるケイト・ハドソンのソーシャルメディアを活用した宣伝活動も功を奏した。
共同創業者ひとりでもあるアダム・ゴールデンバーグ共同CEOは、「店舗での経験をネット事業にも反映させたい」と話す。つまり、店舗の従業員らはサイトの「VIPメンバー」加入者の増加を後押しする役割を担うということだ。ジャストファブは、自動引き落としで毎月一定額を購入する顧客を「VIP」と呼んでいる。
2013年に買収した「シューダズル」(ShoeDazzle)をはじめ、ジャストファブが運営するすべてのブランドは、月額39.95~49.95ドル (約4,600~5,700円)の定期購入プログラムに加入しているVIPメンバーに対し、月ごとに指定した衣類や靴を特価で提供する。例えば、通常79.95ドルで販売しているレギンスが、49.95ドルで購入できる月もある(カナダの人気ヨガウェア・ブランド、ルルレモンのヨガパンツは88ドル)。
ただし、その月に指定されている商品が不要で購入の意思がない場合、それを毎月5日までにジャストファブに通知しなくてはならず、連絡を怠った場合にはその金額が自動的に引き落とされる。引き落とされた料金は、翌月以降の買い物の支払いに充てることができるシステムだ。
このビジネスモデルは当初、大きな批判を浴びた。しかし、ゴールデンバーグはこれについて、「最近では苦情も減り、月間販売数は80万を超えている」「概して言えば、消費者はこのプログラムを好意的に見ていると思う」と語っている。また、6か所あるファブレティックスの実店舗の売り上げのうち40%は、ネットで見て気に入った商品を試着してから購入したいとして、店舗に足を運んだVIPメンバーによるものだという。
このほかゴールデンバーグは、ジャストファブは現在、傘下の4ブランドを挙げて顧客サービスの向上に取り組んでおり、問い合わせには年中無休で24時間対応していると説明した。
これまでのところ、ファブレティックスの店舗は高価格帯の商品を扱う近隣の競合ブランドの店舗に比べ、好調な業績を維持している。メンバー向けの割り引きなども実施していないこれらの競合店には、ルルレモンやアスレタなどがある。