評価額25億ドルの「シャッターストック」ファッション業界と連携強化

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写真やビデオのマーケットプレイスを運営するシャッターストックは、ハイエンドの編集コンテンツの強化を加速している。同社は2月9日、ファッションやイベント、エンターテイメントの写真に特化したニューヨークのエージェンシー、BFAと複数年の独占配信契約を結んだことを明らかにした。

提携によってシャッターストックは最高レベルのフォトグラファーの作品を、BFAはハイテクかつ影響力の大きな流通経路を得ることができる。
「我々はカルバンクラインやシャネルなどの撮影を担当している。シャッターストックには流通と幅広い関係、そして編集のあり方を改善しようとする気概がある」とBFAの創業者ビリー・ファレルは述べた。

ファレルは2010年にネイル・ラスマス、ディビッド・X・プリュッティング、ジョー・シルトホルンらの有名写真家とBFAを立ち上げた。ニューヨークとロサンゼルスに拠点を置くBFAの12人の代理人は、ラルフ・ローレン、ルイ・ヴィトン、ヴォーグ、メトロポリタン美術館といったクライアントを持ち、イベントやハイエンドファッションに深くかかわっている。ファレルは「我々が生み出す他にはない素晴らしいコンテンツをシャッターストックがどう生かすか、非常に楽しみにしている」と語った。

1秒当たり4枚の写真をグローバルで販売しているシャッターストックは最近、プレミアムコンテンツの拡充に力を入れている。2015年1月にイギリスの有名なフォト企業Rexを3300万ドル(約37億円)で買収し、同6月にはエンターテイメント分野の商品の強化に向け、『Variety』『WWD』を発行するペンスキー・メディア(Penske Media)と提携した。

シャッターストックCEOのジョン・オリンガーは「BFAとの提携により、我々は全ての主要イベントにアクセス可能になる。BFAは編集ビジネスを完成させるための大事なピースになる」と語った。

フォトストックを10億ドルビジネスに育て上げ、変化の少ない写真産業にテクノロジーを持ち込んだプログラマー出身のオリンガーは、「最良の写真を最良の出版社にできるだけ早く届ける仕組みを学びたい」と述べた。

オリンガーは、スマートフォンの普及とともに60億ドル市場に成長したフォトストックマーケットで、ゲッティイメージズ(Getty Images)のようなライバルを破るために、テクノロジーを駆使する。イメージとビデオの需要増はシャッターストックの企業価値を2015年4月に25億ドル(約2800億円)まで引き上げたが、テック系企業の例に漏れず、同年は株価の激しい浮き沈みを経験した。テック系企業が総じて失速気味の中で、プレミアムフォトマーケットに向かって前進するオリンガーは、「編集は我々のビジネスにとって重要な部分だ。出版社と手を結び、共に成功したい」と述べた。

編集=上田裕資

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