上位の国々(公共部門における汚職の割合が低い国)には、国の規模が小さく、経済的に成功していて、とりわけ北欧に集中しているという共通点がある。ランキング上位は以下の通りだ。
1位 デンマーク
2位 フィンランド
3位 スウェーデン
4位 ニュージーランド
5位 オランダ
その他の主要な経済大国の順位
10位 ドイツ
10位 イギリス
16位 アメリカ合衆国
18位 日本
76位 インド
83位 中国
米国が比較的上位にランクインしているのを意外に思う人がいるかもしれない。以前は、汚職調査の専門家ですら「アメリカは世界でもっとも汚職によって腐敗した国だ」と話していたこともあるほどだ。実際のところ米国における汚職は、収賄が世間に明るみにでないよう密かに行われてきたという特徴がある。
一方で汚職が深刻な国々では、あからさまな収賄が日常茶飯事だ。ランキング下位の国々(腐敗度がきわめて高い国)の特徴は、貧しく、戦争によって荒廃し、国家破綻直前の状態にあるという点だ。下位にランクインした国々は以下の通りだ。
167位 ソマリア
167位 北朝鮮
166位 アフガニスタン
165位 スーダン
163位 南スーダン
163位 アンゴラ
各国における商習慣を知りたければ、CPIは格好の基準となる。実のところ、商取引において収賄を当然のものと捉えている人は多い。「あそこの国ではしっかり心づけをしておかないとビジネスなんて出来やしないよ」というビジネスマンの声もよく耳にする。ただし、このような考え方をしていると後々痛い目に合う可能性が高い。
海外で商取引をする企業や個人にとって、今回のランキングは、汚職に伴うリスクの度合いを測る物差しのような役割を果たす。米国の海外腐敗行為防止法は、外国の公務員に対する一切の収賄を禁じている。検察側は取締りを強化しており、何百億円もの罰金を課せられる大企業も出てきている。イギリスでも同様の法律を制定するなど、各国の司法当局が収賄行為を防ぐべく力を注いでいる。
ビジネスの世界で、リスク配分の基準となるのが法律だ。公務員に賄賂を要求される確率が、デンマークでは0%なのに対し、ソマリアでは100%だ。中国やインドなどはその間のどこかといったところだろう。
汚職による腐敗度が高い国々でビジネスをする場合、競争原理が働かないところでサプライヤーや政府との協力関係を築かなければ、取引が成り立たないかもしれない。しかし、それを単なる商習慣にすぎないと軽く見積もっていたのでは、いざ明るみに出たときに罪を免れない。そうした事態を避けるためには、リスクを最小限にとどめるべく戦略を立て、CPIリストで下位にランクインしている国々に特に焦点を絞って実行していくことに尽きるだろう。