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Nadezhda1906 / Shutterstock

息子2人を連れて、ドミニカ共和国のリゾート地、プンタカナにあるオールインクルーシブ(宿泊費、施設使用料、飲食代込)で連休を過ごした。そこでは私たち以外に一人親の家族は見かけなかった。周囲の家族は、太陽の下でリラックスしたり、波打ち際で水をかけあったりして過ごし、お腹がすいたら食べ放題のビュッフェで空腹を満たす。私たち家族も似たり寄ったりだったが、ただ一つ、私の子どもたちに「ママ」はいないという状況だけが他の家族と異なっていた。フロンティア航空搭乗口では、少し驚いたような感じでフライトアテンダントに「3人様でよろしかったでしょうか?」と尋ねられた。プンタカナのリゾートホテルのスタッフはいつも親切に応対してくれたが、私たちがビーチやレストランで飲みものを注文するたびに、「3人分」というのに何やら戸惑っているように感じた。明らかに、父親と息子2人のバケーションというのは一般的ではないのだ。

「男の一人親」としての経験からは、多くのことを考えさせられる。息子たちに「世の中で何が普通か」ということをこれまで親としてどのように示してきたか、考えさせられる。現代の親たちは、ビデオゲームが子どもに与える影響を心配するのに相当の時間を費やすが、大人が無意識のうちに押し付ける「文化的な標準」に関わる問題にはあまりに無関心ではないだろうか。

21世紀のアメリカにおける家族のあるべき姿について、これまで子どもたちにどう教えてきただろうか。子どもたちは父親と子どもの関係についてどう考えているだろうか。最近の研究で、家庭における父親像やその役割が刻々と変化していることが分かっている。共働き世帯の増加にともなって家庭でより多くの時間を過ごす父親が増えるなど、従来と比べて男女の役割分担が多様化している。しかし、そうした家庭像を単に経済状況の変化に起因するものとしてとらえていてよいのだろうか。次世代に向けたメッセージ性を込めて伝えていくべきではないだろうか。子どもはいつも何かを学習している。だからこそ、私は常々、息子たちが将来思いやりの心をもって正しいこととそうでないことを見極められる一人の人間としてグローバル社会へ貢献できるよう教育していきたいと考えていた。

前妻とは約4年前に離婚して、現在は8歳と10歳の息子たちに対して平等な親権をもっている。離婚するほとんどの親たちが考えるように、私も離婚が子どもに与える影響について熟考した。私が子ども時代を過ごした1980年代には、親が離婚した子どもは周囲に1人か2人しかおらず、自分とは生活スタイルなどがずいぶん違うと感じていた。自分の家が2軒あって、それぞれの家で決まりごとが異なる。私の家族のように家族でバケーションに出かけるなんていうことは一度もなかった。


私の育った環境は、テレビや映画で見る典型的な家族像だった。家族構成は、同じ人種の2人の性が異なる両親と、2人の年上の兄弟だ。Family Tiesのキートン家や、「愉快なシーバー家」のシーバー家や、「素晴らしき日々」のアーノルド家のように、私の家族は極めて一般的で、平均的で、「正常」だった。そうでない家族はメインストリームから外れたものとして、例外視されていた。1980年代に誕生したSilver Spoonsや Diff’rent Strokes、Kate and Allieなども新しい家族形態を体現しようとしたものだが、あまりにも「一般的な」家族との違いを浮き立たせたために人々におもしろおかしく受け止められ、それが一層「一般的な」家族のイメージを改めて強調する結果につながった。「モダン・ファミリー」などのテレビ番組やメディアが示す家族像は、実のところ、「家庭にはいつも2人の親がいるのが当たり前」という驚くほど伝統的な見方の裏返しともいえるだろう。


1982年に公開されたスピルバーグ監督の大ヒット作「E.T.」は、両親の離婚をテーマにした作品であるが、この作品はメディアが「一般的な」家族の価値を暗に示した典型的な例である。両親が離婚したエリオットの家庭は混沌と混乱の象徴だった。「エクストラ・テレストリアル」は文字通り地球外という意味であり、私も物置小屋で発見した宇宙人とチョコレートを分け合って食べてみたいという衝動に駆られたが、一方で人間の内面的な部分において「地球外」となる悲しみや混乱は受け入れ難かった。他の多くの映画と同様、「E.T.」でも普通の家族像がすべての問題を解決するかのようであり、最後のシーンはその象徴ともいえよう。普通ということが何を意味するのか、明らかに描かれていた。

あれから30年以上が経ったのだから、状況は変化したものと予測するのはもっともだ。私も、自分の息子たちは両親の離婚やシングルの親に育てられることに対する偏見から解放されるものと期待していた。非伝統的な家族構造が広がりを見せるなか、そう考えるのは当然だろう。息子たちが通う学校では同性婚の両親のもとで育つ子どももいる。私たち家族はフィラデルフィアの中でもとりわけリベラル志向の強い地域に住んでおり、近くのコーヒーショップへ行き来するだけで、従来の男女による結婚スタイルへのこだわりが一蹴され、新しい家族像を読みとることができる。アメリカ全体でみても同性婚は今や合法となった。最近の人々の話題の中心は離婚率の増加だ。

しかし、実際に離婚率は増加していない。昨年ニューヨークタイムズ紙でクレア・ケーン・ミラーが説明したように、「離婚率は1970年代と1980年代前半にピークを迎え、その後30年は減少し続けている」のだ。ある試算によると現在は1,000組のカップルのうち16.8組が離婚する計算になるという。この数字は、この手の話題でよく言われる40%から50%という数字と比べると格段に低い。

刻々と変化を遂げる家族の在り様を理解したうえで、私は自分の息子たちに、家族の形は1つだけではないということを伝えていきたいと考えている。とりわけ、両親の離婚を恥ずかしいと思う時代は終わったと思っている。しかし、それは現実には中々難しい。リゾート地に出かけて自分たちがどのように扱われたかということを思い起こしてみれば、一人親と子どもという家族形態がいまだ社会全体に受け入れられていないというのは自明の事実だ。

編集=Forbes JAPAN編集部

 

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