昨今、外部の人や企業と協力し、製品・サービスの開発を行う”オープン・イノベーション”の仕組みを取り入れる企業が、日本でも増えてきた。だが、それを40年以上も前から自社のビジネスモデルとしてきた会社がある。米デザインコンサルティング企業の「ノッティンガム・スパーク」だ。
消費材大手P&Gや食品大手ネスレなどを顧客に抱える彼らの人気の秘密は、コンサル会社にありがちな“相談”だけで終わらせない点にある。企画からプロトタイプづくりまでを協力し、顧客が特許を取れるような緻密な製品開発をすることで多くの大企業を魅了してきた。日本からもパナソニックの津賀一宏社長が、同社のイノベーションの秘密を探りに訪れている。
人気の理由は他にもある。顧客は、自社の懐事情に合わせて支払いの方法を選べるのだ。まず1つ目は、一般的な「全額支払いモデル」。これは、6~12カ月かかる商品開発の費用を月毎に分割して支払う方法。だが、小さな企業にとって月毎の支払いは負担が大きい。
その場合は、2つ目の「成功共有型支払いモデル」を選べばよい。支払い額を最大40%引きしてもらう代わりに、ロイヤリティや成功報酬、あるいは株式で払う方法だ。つまり、初めの支払いは少なくてすみ、商品がヒットしたときにしっかりと払う形である。この成功共有型を選ぶ会社には、特にスタートアップが多いという。
たとえ知恵がほしくても、誰だって予算に限りがある。支払い方法を選べる顧客思いのシステムは、すばらしいアイデアに匹敵する魅力を秘めているのだ。
ノッティンガム・スパーク NOTTINGHAM SPIRK デザインコンサルティング企業 www.nottinghamspirk.com
1972年創業の米デザインコンサルティング企業。企画から携わり、特許をはじめ、商品のプロトタイプ(試作品)までを顧客に提供する。開発した特許商品は約1,000件。全商品の売り上げは500億ドルを超える。