彼の死後2年が経つが、全体主義者のサイモン・ボリバーの反植民地政策に基づいたボリバー革命は、12月6日(日)に再び頓挫した。ベネズエラ国民は、チャベスの支持者を落選させて、彼の後継者であるニコラス・マドゥロの力を大きく低下させた。
12月6日(日)の国会議員選挙で、野党連合の民主統一会議(MUD)は、やすやすと勝利した。最初の公式結果によれば、争われた167議席のうち99議席を野党が獲得しており、月曜日朝の時点で22議席が依然未定である。
野党は、争われている議席のうち少なくとも14議席を獲得したと主張しており、そうであれば、カラカスの権力の場において、超過半数を得たことになる。
選挙結果は、市場の予測していた単純過半数を上回るものであり、市場が唯一注目しているベネズエラ/PDVSA証券にプラスとなるはずである。
「選挙結果は、権力の再調整が行われることを示唆しており、政治的移行の可能性を開くものです」と、アレジャンドロ・アレアサを筆頭とするニューヨークのバークレイズ・キャピタル証券の新興市場アナリストは言っている。
獲得議席数と同じくらいに重要なのが、獲得投票数である。投票者数に基づけば、野党は、今回の選挙で800万人を超える票を得ており、これは、チャベスが首都の軍事病院で死亡した後の2013年に、マドゥロと仲間が得た750万票を上回るものである。チャベスは、心臓発作で亡くなった。癌の後期であったが、どんなタイプの癌であったかは、公表されていない。
ベネズエラの経済は、それ以降、苦境にある。
10月に出された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによれば、ベネズエラの実質国民生産は、今年は10%縮小し、2016年には6%縮小する。石油価格が回復しなければ、この石油に依存している国の状況は、更に悪化する。今年ベネズエラより悪くなると予測されているのは、ウクライナとロシアであるが、両国とも最も重要な貿易相手国から、経済制裁を受けている。
同国の通貨であるボリバーは、ブラックマーケットで取引されているだけであるが、公式レートは、6.35のままである。反西欧のボリバーの教えを受けて、チャベスは、「ヤンキー資本主義野郎」に敵対して有名になった。その米国では、2000年代初頭には、何故かチャベスはチェ・ゲバラの生まれ変わりであり、南米全体を道連れにするとの理論や創造が盛んであった。
マドゥロに政権が変わった時に、米国政府は、ベネズエラに接近しようとしなかった。
同国の富裕層の多くは、ボリバー革命から逃れて、マイアミの不動産に殺到した。
マドゥロ政権は、成立後2年であり、まだ比較的日が浅いが、チャベスの政策を踏襲し、強化して、状況を悪化させている。彼は、供給や価格が低下している物があるにも関わらず、主要食品の価格を維持した。それによって、2015年には、インフレが、159%になった。IMFは、来年は更に悪化すると考えている!
12月6日(日)に、社会党が敗れたのも不思議ではない。
長い間、野党は国民の支持を得られないでいた。それは、社会的政策によって、低所得層の大票田が、チャベスの党を支持し続けたからである。大部分は、そのままであろうが、インフレが元々低い所得に打撃になっており、彼らですら、マドゥロになってから何かが違うと感じている。
強化された野党の攻撃に晒されて、マドゥロは、経済改革を策定して実行出来ないかもしれない。「当局は、多大の信頼を失った」と、アレアサは、クライアントに告げている。
当面、今後2年ほどは、新しい議会の下での政策変更とマドゥロによる現状維持のせめぎあいであろう。政策変更の方が、現状維持よりも良いだろう。