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2015.12.16 13:00

ブラジルに投資?当分やめた方がよさそうだ

Anadolu Agency / Getty Images

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新興市場には、至るところに「価値」がある。ブラジルもそうだ。だが、現在進行中の政治スキャンダルと大統領に対する弾劾手続き開始に向けた動きは、同国の潜在的な利点を大きく損なっている。

ブラジルは再び、格下げに直面している。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、向こう数カ月内に格下げを決定するかもしれない。フィッチ・レーティングスはすでに、ブラジルの政治危機が当面続きそうな状況であることを理由に、近く格下げを実施することについて検討中だと警告している。

これが、ブラジルの現状だ。ならば、どうすべきか?投資するなら、別の国にした方がよさそうだ。12月10日に同国のソブリン格付けを90日以内に引き下げる可能性があると警告したムーディーズはその理由として、財政の悪化(税収減)と政治的なこう着状態を挙げている。ブラジルでは、議員らを巻き込んだ国営石油会社ペトロブラスをめぐる汚職疑惑の捜査が続いている。

バークレーズ・キャピタルの債権アナリスト、ブルーノ・ロバイは、ムーディーズとフィッチのいずれか、あるいは両社が、年明けにブラジルの格下げを決定することは間違いないだろうと述べている。そうなれば、企業の信用リスクが高まり、ブラジル企業の多くは資金調達コストの上昇に直面する。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は今年すでに、ブラジルの信用格付けをジャンク債に引き下げている。

弾劾手続きには長い時間がかかる。つまり、政治的まひ状態はさらに長引くということだ。ロバイは、「弾劾手続きに長い時間がかかれば、ブラジルが被る損害はさらに大きくなる」とも指摘する。
外国人ファンドマネジャーらはブラジルから資金を引き上げざるを得なくなり、通貨レアルは下落する。そうなれば、すでに10.5%に達しているインフレ率はさらに上昇することになる。そして、ブラジル中央銀行はインフレ抑制のため、現在14.25%の政策金利をさらに引き上げる以外に、打つ手がなくなる。

ブラジルをこの泥沼から救い出すためには、エドゥアルド・クーニャ下院議長議会とジルマ・ルセフ大統領が協力することが賢明の策だろう。だが、実際にはそうはならない公算が大きい。大統領が弾劾手続きを乗り切れるかは不透明だが、基本的には、1990年代に米国で当時のビル・クリントン大統領が野党・共和党主導の下院で弾劾されたときと同じ結果になるとの見方が優勢だ。

ただし、弾劾されずに済んだとしても大統領は、鉄鉱石世界最大手のヴァーレが中国の需要減に直面し、国内の雇用市場の情勢が一層悪化し、適正な範囲を超えた金利が消費者の消費意欲を低下させる状況の中で、ペトロブラスや国内のその他の権力層によるホワイトカラー犯罪の捜査に対応していかなければならない。

どの面からみても、ブラジルには厄介な仕事が山積している。そして、政権内にその仕事を担える人物がいないことは明らかだ。国内では、迅速な弾劾手続きを求める市民らのデモが続いている。皮肉なことに、と言えるかどうか分からないが、ルセフ大統領に対する弾劾請求を承認したクーニャ下院議長もまた、警察の捜査対象だ。ペトロブラスからの収賄の疑いに加え、議会での偽証容疑、スイスの銀行口座に約500万ドルを保有していたことで、取り調べを受けている。

編集 = 木内涼子

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