こうした事柄に対する答えは、私がマイケル·スーピアスと書いた『リーダーシップ10の黄金律』(The Ten Golden Rules of Leadership)にまとめられている。
ルール1 自分自身を知ること
本物のリーダーシップは内面から染み出してくるものだ。偉大なリーダーは、周囲に働きかける前に、まず自分自身に問いかける。内面を明瞭にしておこう。自分の強みと弱みを把握しておこう。自己認識こそ、本物のリーダーシップに欠かせない、根本的な前提条件となる。
ルール2 地位が人を表す
権限を預かると、そのリーダーの内面が表面化してくる。権限を正しく行使できるほどに、真摯に自分を見つめてきたのかどうかが明らかになってしまうのだ。
ルール3 職場に仲間意識を育てる
十分なサポートと指導と動機づけを通じて、リーダーは職場に仲間意識を作り、ポジティブな感情を広げていかなければならない。
ルール4 変えられないことにエネルギーを費やさない
コントロール圏外のこと、つまり変えられないことに、リソースやエネルギーをさかないこと。
ルール5 常に真実を受け止めること
有能なリーダーたるもの、常に真実を受け止めなければならない。組織のなかで忌憚の無い批判を促し、こびへつらいには疑いの目を向け、権限で真実に蓋をすることがあってはならない。
ルール6 競争原理で人材を登用すること
競争原理を建設的に活用できる環境を育てよう。目標達成にむけて部下が創意工夫や創造性を発揮できるような仕組みを作ろう。競争をポジティブに捉える部下を見定め、競争をネガティブに捉えている部下を遠ざけよう。
ルール7 規律正しく生きること
高い規律を持って自らの行いを節制しよう。不愉快な相手に対しても悪意を抱かない。困っている人には見返りを求めず助ける。危機に瀕しても冷静さを失わない。妥協すること無く原則に従う。会社に与えられた権限では無く、自分自身の人柄で部下からの尊敬を勝ち取る、権限を力にかえていく。
ルール8 情報は常にクリティカルに評価すること
古くさい前提条件や主張、野心に頼らないこと。クリティカル・シンキングを行い、何事も額面通りには受け取らず、重要な情報はその信頼性と有用性を確認し、その情報が生み出された文脈や、その情報をもたらした人の真意を読み取り、けして判断を急がないこと。
ルール9 誠実であることの力を侮らないこと
誠実であることは、本物のリーダーシップにとって大きな財産になる。つねに誇れるようなアジェンダを掲げ、規律正しく振る舞い、不正や詐欺を正当化しようとせず、「騙して勝つより、名誉ある敗退」を選ぶこと。
ルール10 人柄こそが運命である
本物のリーダーシップはつまるところ、本人の人柄と誠実さにかかっている。つまり、「運命」なるものはおよそ、我々のコントロールが効かない神秘の力なのではなく、自分の手の中にあるのだ。