それが、フェドリッツィの新しい本「グリーンに考える:利益を上げて地球を救う方法」(Disruption Books、2015年11月12日出版)のメッセージである。彼の理想とする世界では、環境保護者と産業界は、角を突き合わせるのではなく、持続可能な未来のために協働して、気候変動、水を含む天然資源の減少、環境における有害物質の増加に取り組むのである。
「私達は、『もしこれを環境のために行えば、雇用が失われ、利益がなくなる』と人々が言うのをあまりに長く放置し過ぎました。」と、フェドリッツィは言う。そうではなくて、「市場では、正しい事を行う人が必ず報われます。」 レオナルド・デカプリオは、自らの地球温暖化を扱った映画The 11th Hourのためにフェドリッツィにインタビューしたが、本書の前書きの中で、「この本の中心テーマである行動への呼びかけによって、世界が変わる可能性があります。」と書いている。
フェドリッツィは、 Carrier Corp.(現在は、UTC business)のために、省エネのエアコン市場を作った時の様子や、最初に産業界の交渉参加を求めた環境NGOの一つである米国グリーンビルディング協議会の共同設立者かつ現在のリーダーとしての経験を語る。Carrier社においては、彼は、ポール・ホーケンが1993年に出した「サステナビリティ革命(The Ecology of Commerce)」の主張である、ビジネスが最大の加害者であり、ビジネスが解決策を提示しなければならないとの考えを踏襲した。「『グリーンに考える』では、ホーケンが正しいことを示しています」と、フェドリッツィは語る。
サステナビリティが、どうやって経済的成長をもたらすのだろうか。まず、企業は、無駄を省き、物事を効率的に行って、お金を節約する。第二に、サステナビリティは、革新を生み出し、新しい利益の高い製品に繋がる。
その例としては、ユニリーバ 、 ネッスル 、プロクター・アンド・ギャンブル、UTC、小さな企業では、モジュラー・カーペット会社のInterface、石鹸や清掃用品の会社で最近ベルギーに本社のあるEcover Groupと合併したMethod Home、最近Hormel (フェドリッツィは、硝酸の入っていない同社のベーコンのファン)に買収されたApplegate Farms などがある。
しかしながら、フェドリッツィが最も良く知っているのは、グリーンビルディング運動についてである。グリーンビルディング協議会では、彼は、建物のためのLEED 格付制度(建物の「グリーン」度により、異なるレベルの証明書)の創設に尽力した。それによって、世界的なグリーンビルディング産業は、推定1,000億ドルの規模になった。全世界で、LEED証明書を受けたグリーン不動産は、33億平方フィートあり、エンパイヤー・ステート・ビル改装から、ウィスコンシン州マジソン郊外の新築のレイク・ミルズ小学校(フェドリッツィによれば、プロジェクトを主導した母親がヒロインだそうである)まで様々である。
それでは、ミレニアル世代その他我々に対するアドバイスは何だろうか。個々人のエンパワーメントである。以下に、ポイントを紹介しよう。
製品レベルでの開示を要求する
「問題なのは、普通に使われている原材料や加工方法が明らかにされていないことです。」と、フェドリッツィは語る。彼は、企業に対して、透明性と開示をマーケティングの機会として捉えるように呼びかけている。そして、消費者に対しては、石鹸であれ車であれ、何か買う時には、透明性と開示を要求するように言っている。
自宅をグリーンにする
「おそらく、皆さんは、持続可能な生活とは、電気を切って暗闇の中で凍えていることに尽きると考えながら、これまで成長されてきたかもしれません」と、フェドリッツィは語りかける。「現在では、技術の進歩により、求める快適な生活をしながら、エネルギーを節約することが可能になっています。そのためには、グリーンな新しい家を買うか、今の家をリノベーションすれば良いのです。」彼は、リノベーションを行い、ニューヨーク州シラキュースにある築100年の自宅の換気装置などの機械設備を更新して、太陽パネルを取り付けた。
グリーンな環境を探す
「グリーンに考える」には、グリーンな病院、グリーンな小学校のケーススタディが示されている。年老いた両親のためには、グリーンな医療機関を選ぶ。ぜんそく持ちの子供が大学に行くときには、グリーンな寮を探す。Habitat for Humanity and Enterprise Partnersも、グリーンな手頃な家を建てている。
購買力と投資力
消費者として、消費や投資を通じて、どの会社が最も真剣で、自分の価値観に近いかを示すことが出来る。過去においては、企業がEarth Dayに従業員を動員して木を植え、それを会社のsustainability brochuresに掲載していたが、今では、改善された製造プロセスを通じた二酸化炭素削減戦略をチェックすることができる。
ソーシャル・メディア
何か間違ったことを見たら、ソーシャル・メディアを通じて他の人に知らせることが出来る。「ようやく状況が変わったと思ったら、フォルクスワーゲンが堂々と排気ガスで世間を騙していたことが分かりました。まだまだ、やることが沢山あります。」と、彼は語る。
投票
気候変動その他の環境問題についての価値を共有する候補者に投票する。これを連邦レベルだけなく、州や市町村のレベルでも行う。教育委員会は、グリーンなバスを採用できるし、市議会は、公共交通機関を使う人に手当を出すように雇主に義務付けることができるのである。