Official Columnist

大野 左紀子

シネマの女は最後に微笑む

1959年、名古屋市生まれ。1982年、東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。83年から2002年まで、現代美術の分野で発表活動を行う。2003年アーティストを廃業し、文筆活動に入る。主な著書は『アーティスト症候群 -アートと職人、クリエイターと芸能人-』(明治書院、2008)、『「女」が邪魔をする』(光文社、2009)、『アート・ヒステリー -なんでもかんでもアートな国・ニッポン-』(河出書房新社、2012)、映画エッセイ集『あなたたちはあちら、わたしはこちら』(大洋図書/2015)など。現在、名古屋芸術大学非常勤講師、京都造形芸術大学客員教授。

  • 大自然の中の過酷な旅、過去を生き直す女性の実話

    例年にない猛暑に見舞われた今夏、まだしばらく残暑は続きそうだが、お盆休みの旅行を返上し、今月の連休にレイトサマーを楽しもうと計画している人もいるのでは? 夏休みも終わり落ち着き始める国内観光地、早くも秋の訪れが感じられるヨーロッパ、南半球の島々はこれから春のバカンスシーズンだ。レジャー目的ではなく、 ...

  • 似ているからこそ対立する? 母と娘、争えぬ血の悲喜劇

    お盆の帰省シーズンも終わり、ほっと一息ついている人も多いのではないだろうか。道路の渋滞や交通機関の混雑、移動の疲労もさることながら、そもそもあまり積極的に帰省したくないという声も最近は聞かれる。もっとも多いのは、既婚女性の「義実家に行きたくない」。姑に愚痴や厭味を言われる、何かと気を使う、家事労働を ...

  • 異性愛者と変わらない、同性愛者カップルの危機と親子関係

    月刊誌『新潮45』8月号に寄稿された自民党衆院議員、杉田水脈氏のテキスト「『LGBT』支援の度が過ぎる」が、先月から波紋を広げている。特に「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」という文面が、差別であると同時 ...

  • 「もう男には期待しません」 ほっこり系独身者ドラマの妙味

    先月末、東京都内で講演した自民党の二階幹事長の、「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考えて(いる人がいる)」という発言が、特定の家族観の押しつけであるとして各方面からの批判を呼んだ。この社会において「子どもを産まない方が幸せ」つまり「子どものいない人生の方が幸せ」という思いが生まれると ...

  • 女とは一体何なのか? 「自分のかたち」を探すトランスジェンダーの旅

    7月2日、お茶の水女子大が、戸籍上は男性でも自身の性別が女性だと認識しているトランスジェンダー(以下、トランス女性)の学生を、2020年度から受け入れる方針を発表し、注目を集めた。日本女子大、奈良女子大他の主要女子大学も受け入れを検討しているという。近年減少している女子大だが、社会にまだ根強く存在す ...

  • 不法行為へ追いやられる貧困の中の、ささやかな絆と倫理

    6月11日、629人のアフリカ系移民を乗せて地中海で立ち往生していた「アクアリウス号」の入港を、スペインのサンチェス首相が認めた。アクアリウス号は、国境なき医師団とドイツの慈善団体「SOSメディテラ」が運営する船舶で、6回に渡ってゴムボートから移民を救助したが、イタリアやマルタで受け入れを拒否されて ...

  • 理想の相手とは結ばれない? 映画にみる「結婚の条件」への皮肉

    イギリスのヘンリー王子とアメリカの女優メーガン・マーグルのロイヤルウエディング中継を見て、思わずシンデレラコンプレックスを刺激されてしまった女性はどのくらいいるだろうか?バブル期、まさにそのシンデレラコンプレックスを象徴する「三高」(高学歴、高収入、高身長)という言葉があった。女性が相手に望む結婚の ...

  • 大企業の不正を暴く! ノンキャリア女性を突き動かしたものとは

    今月22日から23日にかけ、大都市の環境問題についての国際会議が東京都主催で開かれた。ニュージーランドの元首相で国連開発計画(UNDP)の総裁も務めたヘレン・クラーク氏の基調講演など、アジアを中心に世界約20都市の代表が参加し、廃棄物処理や資源循環、大気汚染対策をテーマに、各都市の政策を紹介し合い議 ...

  • 「皆と同じように働きたいだけ」、職場のセクハラと闘い続けた女性

    アメリカの国務省は、先月20日に発表した2017年版の人権報告書において、「日本の職場でセクハラが依然として横行している」と記した。皮肉にも丁度その頃、私たちが毎日目にしない日はなかったニュースと言えば、福田(元)財務省事務次官のセクハラ疑惑である。特筆すべきはこの問題について、信じ難い政治家の対応 ...

  • 芸術の「共犯」によって失った誇りを、彼女はいかに取り戻したか

    長年にわたりアラーキーこと写真家の荒木経惟のモデルを務めていたダンサーのKaoRiさんが、荒木氏との関係について綴ったブログの記事は、今月初め多くの反響を巻き起こした。同意書や契約書のないまま日常のあらゆる瞬間を撮影されてきた彼女は、当初は荒木氏の「私写真」に貢献しているつもりでいたという。だが、拘 ...

  • 妊娠、出産、子育て 翻弄される心身とパートナー関係の行方

    「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の運営で知られる熊本市の慈恵病院は昨年来「内密出産制度」の導入を検討していたが、今月14日、各国の関係者が集まって制度について議論する本格的な国際シンポジウムが、国内で初めて開催される。「内密出産制度」とは、子どもを育てられない母親が匿名のまま病院で出産でき ...

  • 「ありがとう」が聞きたくて横領に手を染めた女の夢見た自由

    次々と新たな事実が発覚し、自殺者まで出して日本を揺るがせている森友問題。その「起源」の中心にいるのが安倍総理夫人であることは、世論調査などを見ても半数以上の人が確信しているところだ。安倍昭恵氏は裕福な家庭に生まれ、ミッション系スクールを卒業したいわゆるお嬢さんだが、ファーストレディとなった後は、ラジ ...

  • 闘いながら少女を先頭へと押し上げる、タフな女たちの気概

    平昌オリンピックが閉会して2週間、現在はパラリンピックで競技者たちがメダルを競っている。五輪に女性が参加できるようになったのは、1900年の近代オリンピック第2回から。19カ国1066人の選手のうち、女性は12人だけだったという。さらに当初はテニスやゴルフのみで、大会側が「女性らしい」と見なした競技 ...

  • 人間嫌いな女性シェフが、試行錯誤の果てに見つけた大切なもの

    2月上旬、『だい!だい!だいすけおにいさん!!』という番組で歌われた『あたし おかあさんだから』という歌が炎上した。歌詞を書いたのは人気絵本作家ののぶみ氏。内容を要約すると、「一人の時はオシャレして働き、好きなことをして自分中心の生活だったが、母親になってからはそれをすべてやめて、子ども優先の生活を ...

  • 真実とデマの間で抗った女性ジャーナリストの最後のプライド

    新聞通信調査会が1月に発表した「メディアに関する全国世論調査2017年度版」によれば、信頼度の高いメディアは、1位がNHKで70%。以下、新聞、民放テレビ、ラジオ、インターネット、雑誌の順になっている。2011年を境に各メディアへの信頼下落傾向が見られ、とりわけインターネットは「フェイクニュース」の ...

  • 介護と離職、葛藤を通じて見直される「親子のかたち」

    先日、政府は、高齢化に伴って増大する社会保障費に、新たな抑制目標を設ける検討に入ると発表した。医療費に使われる10兆円規模の国費は、これまで診療報酬改定や医療・介護の自己負担などの制度改正で削減されてきたが、今後は増々国民の負担が増える可能性が高い。もちろん私たちの介護負担は、金銭面ばかりではない。 ...

  • 同僚の解雇かボーナスか? 働く人々それぞれの事情

    新しい年を迎えて私たちが思うのは、「今年も無事に過ごせますように」ということだ。「無事」は自分や家族の健康から仕事や人間関係などさまざまだが、多くの人が気になるのは雇用及び生活の安定だろう。日本は失業率は下がり、景気拡大が続いていると言われる。有効求人倍率は昨年、バブル期のピークを越えて1.5倍台に ...

  • 平等の権利を求めて立ち上がった、レズビアン・カップルの闘いの行方

    今年11月、自民党の竹下亘総務会長の「同性パートナーが、天皇、皇后両陛下主催の宮中晩餐会に出席するのは反対」という発言が、波紋を呼んだ件は記憶に新しい。同性愛者や支援者たちの反発に竹下氏は反省を表明し、河野太郎外相が28日の衆院予算委員会で、祝賀レセプションの来賓について、「法律婚・事実婚あるいは同 ...

  • 「学べなかった女」を勇気付ける、自尊心回復のストーリー

    かつてのタリバン支配下では女性の教育が制限されていたアフガニスタンで11月5日、初めて女性学を専攻した大学院生たち男性7人を含む22人に、学位が授与された。家父長制が根強いこの国での女性の地位はまだ低いが、修了生の一人、サジア・セディキさんは、「私たちは自分たちが受けた高等教育によって社会を変え、人 ...

  • 世界に広がる「MeToo」、映画から考える性暴力への「あるべき救済の姿」とは

    ハリウッドをゆるがしたハーヴェイ・ワインスタイン氏の性暴力告発は各方面に飛び火し、収まる気配がない。10月末にはフランス各地で反セクハラデモが展開され、アメリカでは著名アーティストを含む7000人が業界の権力者のセクハラを非難する公開書簡を発表。11月に入ってからは、ペルーでミス・ペルー審査会の出場 ...