2兆5,000億ドル(約300兆円)の購買力があるとされるミレニアル世代は、脂っこい食べ物よりもフィットネスクラブにお金をかける傾向にある。マクドナルドやウェンディーズ等の外食チェーンにとっては厳しい時代が続いている。
タコベルやKFCの親会社であるヤム・ブランズの直近の決算は市場予想を下回った。米マクドナルドは売上の低迷が続き、今年5月には月次売上高の公表を中止すると発表した。
しかし、ウォール街のあるアナリストらによると、ファストフードチェーンの先行きは、真っ暗というわけではない。実際のところオールデイ・ブレックファスト(いつでも朝食メニューを提供する施策)の導入やモバイル注文の拡充により、明るい兆しも見られる。
シティグループは10月7日、「ダイニング・ディスラプター」と題したリポートで、ファストフード業界が抱える課題について分析した。その結論は「朝食メニュー戦略は良し、賃上げ問題は未解決、商品の値上げはお勧めできない」といったところだ。
まず、朝食戦略から見てみよう。マクドナルドが朝食メニューを一日中注文可能とした戦略について、シティはこう記している。「概して、オールデイ・ブレックファストは売上アップにつながる契機になると見る。マクドナルドは朝食メニュー戦略により顧客から好反応を得た。売上が増加に転じたマクドナルドは、次の四半期は更に伸びるのではないかと我々は見ている」
他のマクドナルドのチャレンジ(顧客の好みに合わせて作れるオーダーメード・バーガー等)は、プラスとマイナス半々の結果が現れたとシティは分析する。「オーダーメード商品は一部の地域、オーストラリア等でかなりの成功を収めた。しかし、米国内では伸び悩んでいる」と記している。シティグループはマクドナルド株のターゲット価格を105ドルとした。これは、過去の平均株価に25%上乗せする価値があると見込んだ結果だ。
シティはまた、現在進行中の最低賃金引き上げに関する議論と、それが実現した場合にファストフードチェーンが受ける影響についても吟味した。手短に言えば、賃上げ分が価格上昇につながるとの見方だ。しかし、経営者らは価格の引き上げに関しては慎重だ。ドミノ・ピザのパトリック・ドイルCEOは次のように発言した。
「顧客らは2008年の景気低迷以降、お金の使い方により注意深くなりました。それは今でも変わっていません。この経済状況で値上げは難しい。それによって売上が伸びることは期待できません」
ウェンディーズのCFOのTodd Penegorも最近「利益確保のためには、価格をつり上げるより、テクノロジーで人件費を削減したほうがいい」と述べた。
「顧客がセルフオーダーをするシステムの構築や、厨房の更なる自動化などのアイディアがあります。今年中に更に多くのアイディアが出てくるでしょう」と、8月決算報告でPenegorは述べた。
このコメントは注目に値する、とシティは述べている。
なぜなら、「セルフオーダーシステムや携帯端末を使ったオーダーは長らくファストフード業界の重点課題だったが、バーガーチェーン各社ではその取り組みがスローペースだった」という。
サービスのデジタル化という点では、バーガーチェーンはスターバックスの顧客を奪うことができるかもしれない。スターバックスは最近、携帯端末でオーダーができるシステムを導入し、今のところ消費者の反応は上々だ。