Close

Forbes JAPAN 会員登録で
3,000円分のギフト券が当たる!

PICK UP

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

起業家に関するすべてについて執筆

kaninstudio / Bigstock


オリーブオイルを、ビールやワインの地位に引き上げたい。スーパーの棚に値段も風味も様々な世界中の銘柄が並んでいることが当たり前になってほしい。そんな野望を抱く男がいる。

彼の名はグレッグ・ケリー。ITバブル1.0の立役者の一人として、数々のスタートアップのIPOやレイオフに携わった経歴を持つ。シリコンバレーを去った後、コンサルタントとして世界各地を飛び回っていたケリーは、カリフォルニア州北部の田舎町チコでオリーブオイルの生産農場California Olive Ranchと出会い、2006年に同社のCFOに就任。翌年CEOの座に就き、これまでに1億2000万ドル(約149億7,000万円)を資金調達した。

California Olive Ranchは急成長を遂げ、今や米国内第4位のブランドだ。ケリーが入社した当時160万ドル(約1億9,960万円)だった年商は、今年8000万ドル(約99億8,000万円)以上を見込んでいる。とはいえ、輸入品が市場の大半を占める米国のオリーブオイル業界において同社のシェアは4.5%とまだ微々たるものである。そこからどのように変革を起こすのか。ケリーにこれまでの歩みと今後の展望を聞いた。

——数あるビジネスの中でなぜオリーブオイルを選んだのか。
単なる偶然だ。私が最初にCalifornia Olive Ranchを訪れた時、創業して6年目になるオーナーたちは半ば趣味としてオリーブオイルを製造しながらCFOを探していた。私はオリーブオイルに関して無知だったが、可能性を感じ、経営していたコンサルティング会社をたたんでチコに越してきた。収入は70%減ったが、独身だったからそれほど稼ぐ必要もなかった。

——オリーブオイルの製造のどんな点に可能性を感じたのか。
オリーブオイルの製造工程で特にコストがかかるのがオリーブの収穫だ。従来の栽培方法では人の手で摘む必要があり、多額の人件費がかかる。California Olive Ranchの農園ではブドウ畑のようにオリーブの木を密集して栽培しており、機械による収穫が可能だ。機械式は手摘み式と比べて圧倒的に低コストである上に、短時間で一気に収穫して新鮮なうちに搾油することができる。

——アメリカ人の大多数はオリーブオイルのブランドに対するこだわりがない。その文化をどのように変えるのか。

我々の戦略は、マーケティングによってオリーブオイルを今のクラフトビール、チョコレート、チーズ、ワイン、コーヒーが築き上げてきた地位に引き上げることだ。カリフォルニアワイン業界は、アメリカ人にまったく新しいワインの世界をもたらした。我々も同じことができると信じている。
現代の消費者はブランドに透明性、品質、そして国産品を求めている。米国のオリーブオイル市場は世界第3位であるにもかかわらず、それらの需要に応えるオリーブオイルはこれまで存在しなかった。

——プレミアムブランドとして売るためには何が必要か。
我々は価格では他社に太刀打ちできないが、質の高さで勝負することはできる。そのためには一にも二にも味を知ってもらうこと。これが最も効果的で、最もお金がかかる。まずは消費者に買ってもらうために、割引キャンペーンを行ったり、SNSで情報発信したり、全国のワイナリーで試飲会を実施したりしている。
今はまだマーケティングの初期段階だが、我々の商品を扱う店は2万店にまで増えた。ホールフーズ、ウォルマート、ターゲットなどのスーパーでの売れ行きは好調だ。また高級レストランへの納入にも力を入れており、現在18人の受賞歴のあるシェフが我々のオリーブオイルを使っている。

——現在の仕事とシリコンバレーでの仕事の違いは?
ITバブルの頃は、価値のあるビジネスを築くことよりも、価値観を作り出すことを重視していた。今の仕事は、変革のスピードはシリコンバレーに比べると遅いが、よりパーソナルな人間関係で成り立っている。
また、オリーブオイルのビジネスにはより大きな資本が必要だ。オリーブの栽培・収穫には1エーカー(約1,224坪)あたり1万5000ドル(約187万円)かかり、加工に2000ドル(約25万円)かかり、さらに営業やマーケティングのコストがかかる。California Olive Ranchの創業者はスペインの投資家だが、現在は北米と南米の投資家がついており、従業員持株制度も取り入れている。我々は垂直統合型のビジネスモデルを構築しており、私の入社時に12人だった従業員は100人以上に増えた。

——事業を拡大する中で学んだことは?
会社は人事がすべてだということ。大手の食品会社で輝かしい実績を上げた人がこの会社でも活躍するとは限らない。単純にポジションが空いたから誰かを雇い入れるという考え方は通用しないと学んだ。またチコは素晴らしい町だが、キャリアの選択肢は少なく、優秀な人材を集めることが難しい。そのこともあり、我々は製造拠点をチコに置きながらマーケティングはバークリーで行い、セールスの拠点は全国各地に置くことでスタッフを地理的に分散させている。

——今後の展開は?
製造部門は落ち着いてきたので、マーケティングに注力する。アメリカ人一人当たりのオリーブオイルの年間消費量は1リットル。つまり全国で30万トンが消費され、さらにその量は毎年ほぼ5%ずつ増えている。その中で我々のオリーブオイルを普及させるためのキラー・アプリケーション(決定的に重要な要素)は何か。それを見つけることが会社の成長を握るカギになると考えている。

文=ブライアン·ソロモン(Forbes)/ 編集=海田恭子

 

あなたにおすすめ

合わせて読みたい