肥大化しすぎた会社のコストを削減し、速やかに経営を改善せよ―。
2007年、米バイオ技術企業リガンド・ファーマシューティカルズの改革を託されたジョン・ヒギンズ(45)は矢継ぎ早に手を打った。
巨大な社屋を手放し、製品を他社に売却。営業部隊のリストラも敢行した。365人いた従業員は現在、18人しかいない。その結果、昨年の利益が6,500万ドル(約78億円)に達するほどに経営は上向いた。
だが、成功の秘密はコスト削減だけにあらず。同社は研究開発部門に多くの予算を割くのではなく、5人の上級研究員を中心に、インドや中国の低コストの研究所を使って新製品を開発しているのだ。
「ノーベル賞受賞者と顧問契約を結んだところで、研究開発がうまくいく保証はどこにもありません」と、ヒギンズは言う。また、同社は自社開発した薬品のライセンスを他の大手製薬会社に供与することで利益を得ている。昨年は、特許使用料だけで利益が3,000万ドルにも達した。
ヒギンズは、現在の特許から発生する利益を使って、薬の研究開発をしたいという。
“コストカッター”として送り込まれた男が、新種のバイオ技術企業をつくり出そうとしている。