米カリフォルニア州は、2008年に電気自動車(EV)の販売を開始したテスラにとって米国最大の市場だが、2025年第1四半期の販売台数は、同州における「テスラ離れ」が鮮明になったことを示している。EV市場の競争の激化に加え、イーロン・マスクの政治への関与に対する反発が強まり、店舗での抗議活動が激化する中、同州におけるテスラのEVの販売台数は前年同期比で15%減少した。
オースティンを拠点とするテスラは、カリフォルニア州の環境意識の高い消費者とEVの優遇措置に支えられてきたが、同州の新車ディーラー協会が4月16日に発表したデータで、今年1月から3月までの同社の販売台数は4万2322台で、前年同期の4万9875台から大きく減少したことが判明した。これにより、同州のEV市場におけるテスラのシェアは1年前の55.5%から49.3%に低下した。同社のカリフォルニア州でのシェアが50%を下回るのはこれが初めてだ。
米国のEV市場全体が伸びているのとは対照的に、テスラの第1四半期における販売台数は、カリフォルニア州だけでなく全米で低下した。上記レポートによると、カリフォルニア州におけるEVの総販売台数は前年同期比7.3%増の9万6416台だった。売上を大きく伸ばしたのはGMで、同社のシボレーブランドのEVは62%増を記録している。また、ヒョンデ(現代自動車)とホンダも好調で、ホンダの新型EVプロローグは州の第1四半期の売上ランキングでテスラのモデルYとモデル3に次ぐ3位を記録した。
調査会社コックス・オートモーティブは先週、第1四半期のテスラの全米での販売台数が8.6%減少したと報告したが、同じ期間の米国全体のEV販売は11.4%増加していた。グローバルでは、同社の今年第1四半期の販売台数は前年同期比で13%減少している。
ブランド価値が低下するテスラ
このようなテスラの低迷は、マスクがトランプ政権への関与を深め、物議を醸す政府効率化省(DOGE)の取り組みを主導するようになった時期と一致している。世界で最も裕福な人物であるマスクは、DOGEの取り組みが年内に1兆ドル(約143兆円)の政府支出を削減可能だと主張していたが、今では「最大で1500億ドル(約21兆4000億円)の削減」にとどまる見込みだと見積もっている。
マスクのトランプ政権への関与は、民主党支持者が多いカリフォルニア州だけでなく米国市場全体で、テスラのブランド価値を毀損している。企業の好感度を分析するアナリティクス企業Caliberによれば、テスラのブランド評価スコアは、2021年11月の調査では69だったが、直近では47にまで低下している。
カリフォルニア州におけるEVの販売台数は、新車販売全体の20.8%を占めている。この割合は、前年の21%からはわずかに低下したものの、全米平均のほぼ3倍に達している。ただし成長ペースは鈍化しており、「2026年までに新車販売の35%をEVにする」という州の目標の達成は困難な見通しだ。
テスラの株価は16日の市場で5%下落して241.55ドルに沈んだ。同社の株価は年初来で40%下落している。テスラは22日に第1四半期決算の発表を予定している。