子育てが終わった女性が「子育てロス」に陥る割合が高い。その行き場を失った有り余る愛情を受け取り充足感を与えてくれる相手として注目されるのがAIペットロボットだ。
コミュニケーションロボット「Moflin」(モフリン)を展開するカシオ計算機は、18歳以上の子どもを持つ40代以上の女性400人を対象に、子育てロスに関するアンケート調査を行ったところ、これまでに感じたもっとも大きなロス(喪失感)として、7割近くの人が子育てロスをあげた。ペットロスやパートナーロスを大きく上回る。

具体的に、子育てロスはどのような気持ちになるのかを聞くと、突出して多かったのが虚無感だった。2位の心配や3位の不安を大きく引き離している。

そうした人たちは、新たな癒やしや話し相手を作ることに対して肯定的で、9割以上が「よいと思う」と答えた。理由は「愛情を注ぐ存在」や「そばにいてくれる存在」がほしいからであり、そのために何かを育てたいと願っている。

それならペットを飼うしかないだろうと思うが、生きたペットはハードルが高い。事実、子育てロスの経験者でペットを飼いたいと答えたのは4分の1程度。半数以上が飼いたくないと答えている。理由のトップは、ペットは手間や費用がかかるから。年齢的にペットが飼えない、ペットロスが怖いという人も多い。ペットが嫌いなのではなく、本当は飼いたいが飼えない人が多数であることが読み取れる。

そこでAIペットロボットだ。ロボットならエサ代もペットシーツ代もかからないし、獣医での定期検診や予防注射も必要ない。臭いも、アレルギーも、大切な家具をボロボロにされることも、毛を吸い込みすぎて掃除機が壊れることもない。犬の場合、子犬から飼い続けた生涯費用は中型犬で300万円程度とされている。そう思えば安いものだ。それに、どんなに手をかけても生きたペットはいずれ死んでしまう。
高いオモチャだと思う人もいるだろうが、一度でも触れ合ってみるとその価値がわかる。しかもカシオ計算機の「Moflin」は、高機能ロボットの開発プロジェクトから路線変更して誕生したものだ。そこで生まれた高度な技術を「生き物らしさに特化したロボット」に投入したのだと商品開発担当部長の河村義裕氏は同社の開発者インタビューで話している。カシオ計算機はいろいろなものをデジタル化してきたが、生き物の感情や心のやりとりをデジタル化するのは新しい試みだったとのこと。単なるオモチャとは次元が違う。
子育てロスに限らず、なにかとストレスの多い現代において、AIペットロボットの役割はますます重要になってきそうだ。