高級ファッションブランドのプラダグループは4月10日、同業のヴェルサーチェを親会社の米カプリ・ホールディングスから約13億8000万ドル(約2000億円)で買収することで合意したと発表した。イタリアのファッション界大手2社のこの合併は、トランプ政権の相互関税の影響で一時頓挫しかかったと報じられている。
プラダは、今回の買収資金として約16億ドル(約2300億円)の借り入れを行うと10日に発表した。同社とヴェルサーチェはこの取引が両社の取締役会で承認済みで、規制当局の承認を経て今年の後半に完了する見通しだと述べている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、プラダとヴェルサーチェの取引は、トランプ政権の相互関税の影響で両社がコスト高に直面したことに加えて、不況への懸念が広がったことで、一時は頓挫しかけたという。 ヴェルサーチェの親会社であるカプリ・ホールディングスの時価総額は、トランプ政権による関税の発表以降の株価下落で、一時約15億ドル(約2200億円)にまで落ち込んだ。そのためプラダは当初16億ドル(約2300億円)を提示していた買収価格を約14億ドル弱(約2000億円)に引き下げたと、関係筋はフィナンシャル・タイムズに語っている。
カプリは数年前から自社の売却を模索しており、昨年はコーチの親会社であるタペストリーへの85億ドル(約1兆2200億円)での売却計画が進んでいたが、米連邦取引委員会(FTC)がこの取引を「高級ハンドバッグ市場の競争を著しく損なう」として阻止し、破談となっていた。
1978年にジャンニ・ヴェルサーチェによって創業されたヴェルサーチェは、2018年に当時マイケル・コースとして知られていたカプリ・ホールディングスによって21億ドル(約3000億円)で買収されていた。この取引は、1997年に兄のジャンニが死去した後にクリエイティブ・ディレクターを引き継いだドナテラ・ヴェルサーチェの下で行われていた。
フィナンシャル・タイムズによれば、カプリは当初ヴェルサーチェを30億ドル(約4300億円)以上で売却することを目指していたが、現在69歳のドナテラが先月、ブランドを退任したことがこの交渉に影響を与えたとされている。