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キャリア

2025.04.12 15:30

ポーカープレイヤー岡本詩菜 「勝つための戦略」を磨き抜く勝負師

岡本詩菜|ポーカープレイヤー

10年続けた仕事は不向きだった

北野:社会人になるまでを振り返って、今の仕事につながる原点はありますか。

岡本:私はすごく負けず嫌いで、人と勝負するのが好きな性格です。それにボードゲームなど、戦略を考えるゲームも昔から好きでした。ダーツやゴルフなど点数で勝負する競技よりも、直接対決するような競技が好きなので、それもポーカーに魅了された理由です。

北野:10年勤めた外銀では債券の営業をされていましたが、そちらはあまり天職と言えなかった?

岡本:人とコミュニケーションを取る仕事が自分はあまり好きではありません。だから人と接しないで打ち込める研究者などは向いているのですが、そんな仕事は世の中にほとんどないと思い就職しました。生きていくために超合理的な選択肢だとわかっていたけれど、何か理不尽さを感じたままでした。

北野:理不尽さ?

岡本:なんというか「人の人生って、こんなもんじゃないだろう」とずっと感じていたんです。10年は頑張ろうと思って仕事を続けたけれど、やっぱり好きにはなれなかったですね。

当時はポーカーで生きていける実力はなかったし、それだけで生きていけるプレイヤーは本当にひと握り。でもポーカーが好きすぎて自分の仕事にしたかったから会社を辞めて、半年くらいずっとポーカーの勉強をしました。その後に渡米した世界大会で準優勝して資金も得られ、再就職しないでもう少しやろうと挑戦を続けてから順調で今に至る流れです。

北野:どこかの時点に強くなったブレイクスルーはありましたか。

岡本:こういうメンタルだからこう動くという、人の感情と行動を結びつける理論がパッとわかるようになった瞬間がありました。ハンド(手札)まではわからないけれど、強いか弱いか、ほぼ確実にわかる。あくまで自分が普段戦うフィールドだけの話ですが、表情や視線、チップの額と出すタイミングに表れます。海外へ遠征して経験値を積んだことで、その感覚が急に訪れました。

北野:それでも、人とコミュニケーションするのは嫌だと。

岡本:ポーカーは基本的に個人競技だから、誰かに忖度することはありません。組織のなかで求められる忖度が本当に苦手だし、忖度して案件を取ってくるといった仕事も自分には向いていませんでした。

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文=神吉弘邦 写真=桑嶋 燦

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