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マーケティング

2025.04.13 11:30

デジ得シニアに再燃エンタメ、シニア消費のカギは「普遍」と「流動」

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かつての「新人類」が求める解放

流動的なものは、世代ごとの価値観だ。私が所長に就任した2016年ごろの65歳前後は団塊世代だった。接待など仕事の延長で、ゴルフやテニスといった集団で楽しむエンターテインメントに触れてきた人たちだ。今の60代はかつて「新人類」と呼ばれ、家庭でも仕事でもない別のコミュニティで趣味を謳歌してきた世代。ハルメクでは今年のトレンドとして「シニア解放区」を挙げているが、これは若者だったころに流行したディスコやサーフィンなどを、還暦を迎えてからでも楽しもうとするムーブメントを指す。

実際に、ノンアルコール・ノンスモーク、昼開催、水分補給の積極的促進といった安全に配慮した「シルバーディスコ®」が人気で、シニアが当時の経験や思い出に浸るように踊り楽しんでいる。ハルメクでは当時からかたちを変えて再流行する「再燃エンタメ」として注目している。10代のころにはマクドナルドが日本上陸した世代でもあり、実はジャンクフードへの抵抗も少ない。彼らが若い時代に経験してきたエンタメやカルチャーが何だったかを意識して商品アイデアを考えるのは重要だ。

もうひとつ、今後のトレンドとして予想しているのが「孫」への消費だ。共働き世帯は増え続けており、孫と祖父母だけで過ごす時間が増えている。従来は主に母親が子の世話をしていて、仮に一緒に買い物に行っても「いろいろ買い与えないように」と釘を刺されるが、息子・娘夫婦がいないことでそのストッパーがなくなる。

今はシニア世代でも推し活をしていて、平均で年間約10万円を費やしているが、孫に使う金額は14.3万円。おもちゃや遊園地での出費だけでなく、習い事の月謝を払うというケースも出てきた。この「子抜き消費」は企業がシニア向けの商品を開発するうえで見逃せない。


梅津順江◎2016年3月から現職。年間約900人のシニアにインタビューや取材などを行い、誌面づくり・商品開発・広報制作の種になるインサイトを探ったり、アンケートを介して半歩先の未来を予見している。

文=加藤智朗

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