私は、ジャック・ブラックとジェイソン・モモアが主演する人気ビデオゲームの実写版、『マインクラフト/ザ・ムービー』の予告編よりも、ひどい予告編を見たことがあるかどうか自信がない。さて、大惨事になりそうなこの映画の批評が出揃ったので紹介しよう。
Rotten Tomatoesによれば、『マインクラフト/ザ・ムービー』は批評家の間で「フレッシュ(Rotten Tomatoesにて60%以上のポジティブな評価を獲得)」には届かなかったものの、本作品に対するポジティブな評価は全体の53%となっている。私が予告編を見た限り、この映画が20%の批評家スコアを超えるような映画には見えなかったが、批評家はブラックとモモアの相性の良さ、ジェニファー・クーリッジのサブプロットのすばらしさを評価しており、ゲームとの融合も十分に楽しめるという。
だが、こうした中途半端な評価にもかかわらず、『マインクラフト/ザ・ムービー』が興行収入10億ドル(約1500億円)を達成すると私が信じているのはなぜか? 主な理由は2つある。
第一に、ビデオゲームの『Minecraft(マインクラフト)』は、2011年のデビュー以来、推定3億本を売り上げ、世界中にいる何百万人もの子どもたちにとって定番のゲームとしてその地位を築き、今日に至るまで絶大な人気を誇っている。そして、そうしたマインクラフトのファンたちは、予告編で見られるCGのクオリティを重要視している訳ではない。自分たちが愛する世界の中で、ジャック・ブラックがおどけ、ジェイソン・モモアがおかしな格好をしているのを見られるだけで十分なのだ。
報道によれば、製作費1億5000万ドル(約219億円)の本作品は、週末3日間における全世界のオープニング興行収入が1億3500万ドル(約197億円)から1億5000万ドル(約219億円)になる見込みとされている。
第二の理由として、『マインクラフト/ザ・ムービー』の事前評価は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と同様のものであるという点が挙げられる。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の批評家スコアは『マインクラフト/ザ・ムービー』とほぼ同じ59%だったが、観客スコアは95%と、熱狂的なマリオファンの間ではかなりの高得点を獲得した(たしかに作品自体はやや平均的だったが)。
そんな『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は全世界で13億ドル(約1900億円)の興行収入を記録した。マリオはゲーム業界における大人気キャラクターだが、マインクラフトも、ある世代(あるいは2世代)の間でどれほどアイコニックな存在であるかを過小評価してはならない。『マインクラフト/ザ・ムービー』が『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成績を超えるかどうかについては疑問だが、それでも10億ドル(約1500億円)は達成できるだろうか? 私の予想はイエスだ。
映画批評家や、いわゆる「通な」映画ファンにとっては理解できないことがある。それは、コアなゲーマーや若い観客に愛されているビデオゲームの実写化は、これまでも「まあまあ」なクオリティでも許容されてきたという事実だ。同じくゲームの実写化作品である『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』があり得ないほどの低予算で2億9100万ドル(約426億円)を稼いだことも思い出される。こうした現象は思ったよりも頻繁に起きるのだ。私は『マインクラフト/ザ・ムービー』でも同様だと考えており、そしてもちろん、それはこの作品の続編も制作されうることを意味する。