GAZ-69はソ連製の初期のオフロード車だ。重量約1500kgのこの四輪駆動トラックは1952年、西部のニジニノブゴロド市のモロトフ記念自動車工場(現GAZグループ)で最初の1台が生産された。20年後の1972年、生産を終えた。
GAZ-69の開発が始まったのは1940年代後半だから、ざっと80年前の設計ということになる。そのGAZ-69は、ロシア軍がウクライナの戦場で新たに使い始めた車両でもある。
最近のいくつかの画像によれば、複数のGAZ-69がロシアによる3年1カ月におよぶ対ウクライナ全面戦争の前線付近に配備されている。少なくとも1両は、ドローン対策のスクリーンが取り付けられている。
/2. More 75-year-old GAZ-69 in Russian service. pic.twitter.com/bkwMKuUjMf
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) March 28, 2025
老朽化したオフロード車の前線到着は、ロシア軍で「脱機械化」が加速している最新の証拠だ。ロシア軍はこの戦争でこれまでに、装甲戦闘車両1万2000両あまりを含め、2万点を超える装備の損害を出している。比較のための数字をひとつ挙げれば、英軍が現在運用する装備の総数は1万9000点弱だ。
新規生産や、長期保管していた古い在庫の引き出しで補える数をはるかに上回る装甲車両を失っているロシア軍は、兵站だけでなくウクライナ軍の陣地に対する直接攻撃でも、ますます民生車両に頼るようになっている。
OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのMoklasenは1月下旬、ウクライナ軍のドローン(無人機)部隊がラーダの小型車を次々に爆破する新たな映像を引き合いに、「ラーダ襲撃ははいまでは普通なのかな」とつぶやいている。
車両の「死のスパイラル」
しかし、民生車両は装甲車両以上に、地雷や大砲、ドローン、ミサイルに対して弱い。最近のある集計によれば、ロシア軍の車両の損害ではバンやトラック、小型車、全地形対応車(ATV)がおよそ7割を占めるようになっている。
輸送手段の民生車両シフトは、ロシア軍部隊の脱機械化に拍車をかける危険がある。民生車両は装甲車両にも増して速いペースで撃破され、電動スクーター、馬、ロバなど、いっそう不適当な輸送手段の需要を高める結果になりかねないからだ。言うまでもなく、ロシア兵にとって残る唯一の手段は徒歩だ。
もっとも、脱機械化が進んでいるからといって、ロシア軍がウクライナで攻勢を維持したり、少しずつ前進したりすることが不可能になるというわけではない。ロシア軍は依然としてウクライナ軍よりも多くの人員と、驚くべきことにより多くの車両を保有しており、わずかな領土獲得のためにそれらを費やすのをいとわない。
一方で、軍事的に適当な車両の損失によってロシア軍が制約を受けているのも確かだ。脱機械化したロシア軍部隊は、状況によってはウクライナ軍部隊を圧倒し、押し込むことができるかもしれない。だが、機械化が不十分な部隊では、それに続いて、ウクライナ側の防御に生じた隙を突くことはできないのが現実だろう。