北米

2025.03.28 13:00

NY証券取引所の親会社、「ステーブルコイン」の金融商品を検討

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ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)は3月27日、米ドルの価値に連動するステーブルコインであるUSDコイン(USDC)の発行元のCircle(サークル)と覚書を締結し、サークルの製品を自社の市場と金融商品に統合する可能性を探ると発表した。

ステーブルコインは、法定通貨や国債などを裏付け資産として発行された、価格が大きく変動しないよう設計されたデジタル通貨を意味する。

ICEは、この合意のもとでサークルが発行する時価総額が600億ドル(約9兆円)のUSDCと、USイールドコイン(USYC)を、自社が運営するデリバティブ取引所やクリアリング機構、データサービスなどで利用することを検討する。

USYCを立ち上げたマイアミを拠点とする企業のハッシュノートは、今年1月にサークルに買収された。このコインは、短期米国債とレポ/リバースレポ取引に裏付けられた年3.8%の利回りを提供している。

ニューヨーク証券取引所のリン・マーティン社長は、フォーブスと共有した声明で「我々は、サークルのステーブルコインとトークン化されたデジタル通貨が、米ドルと同等の価値を持つ存在として信頼度を高めるにつれて、資本市場においてより大きな役割を果たすと考えている」と述べている。

ステーブルコインの市場は急成長を果たしており、この分野の最大手であるテザーの「USDT」の時価総額は1440億ドル(約21兆7000億円)に達している。しかし、ここで注目すべきは、これらのトークンが迅速かつ低コストな国際送金のツールとして利用可能な点だ。今年2月時点でステーブルコイン全体の市場規模は、2140億ドル(約32兆3100億円)に達し、年間取引額は驚異的な35兆ドル(約5300兆円)に上った。これはビザの取扱高の2倍の規模だ。

伝統的な金融界もステーブルコインに注目している。バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOは2月の講演で、「議会がゴーサインを出せば、独自のステーブルコインを展開する用意がある」と述べた。フィデリティもすでに、ビットコインやイーサリアム、ライトコインのカストディと取引を提供するデジタル資産部門のもとでステーブルコインの試作に取り組んでいる。

トランプ政権は、ステーブルコインを米ドルの優位性を維持するための重要な手段と見なしており、米国の議会は現在、ステーブルコインに明確な規制の枠組みを与える2つの重要法案を審議中だ。そんな中、トランプ一族が経営に関与し、少なくとも4億ドル(約600億円)の収益を得ている暗号資産プロジェクトの「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」は25日、米国債や米ドルに裏付けられたステーブルコインを立ち上げる計画を発表した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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