今春も世界最大の腕時計見本市「WWG(ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ)」が華々しく開催された。
なかでも独立時計師ミシェル・パルミジャーニ率いるパルミジャーニ・フルリエが発表した「トンダ PF GMT ラトラパンテ ヴェルツァスカ」は、これまでにない直感的操作性に注目が集まった美しいデュアルタイムウォッチだ。
ひと昔前まで、携帯電話やパソコンにもしっかりとした取扱説明書が付属していたものだ。しかしながら現在は、まったくないか、簡易的なものだけとなっている場合が多い。それはマニュアルや専門知識がなくても直感的に操作でき、誰もが多彩な機能を駆使できる、優れたユーザーインターフェイスが発達したからだ。パルミジャーニ・フルリエの新作ウォッチ「トンダ PF GMT ラトラパンテ ヴェルツァスカ」もまた、直感的な操作を可能にした最先端の複雑時計である。
高機能を直感的に操る心地よさを堪能
パルミジャーニ・フルリエの中核をなすシリーズである「トンダ」には、同社の高度な技術力を注ぎ込んだフラッグシップモデルが毎年のように登場する。今回の「トンダ PF GMT ラトラパンテ ヴェルツァスカ」も、最新の複雑なメカニズムが採用されている。2本の時針によってローカルタイムとホームタイムを同時に表示するGMT機能を備えているが、特筆なのはその時刻合わせの操作方法である。

8時位置に設けられたプッシュボタンを押すと、ホワイトゴールドの時針のみが1時間ずつ進み、容易にローカルタイムに合わせることができる。なおローズゴールドの時針は動かないので、そのまま並行してホームタイムを表示し続ける仕組みだ。そしてホームタイムゾーンに戻った際は、3時位置のリュウズと一体になったローズゴールドのプッシュボタンをプッシュ。
すると瞬時にホワイトゴールドの時針がローズゴールドの時針に重なり、ホームタイムのみを表示するようになる。このようにマニュアル不要のシンプルな操作により、2つの時間帯を直感的な操作のみで自由に表示することができるのである。
こうした直感的な操作をサポートするのが、カラーを使い分けた2つのプッシュボタンだ。
フォーカスする時針のカラーと連動させることで、いわば操作ガイドの役割を果たしているのである。ただし、決して説明的ではなく、全体と完璧に調和している点は、細部のデザインまで徹底的にこだわるパルミジャーニ・フルリエの美学を象徴しているといえるだろう。

そしてモデル名ともなっている「ヴェルツァスカ・グリーン」のダイヤルは、スイスの景勝地として名高いヴェルツァスカ渓谷を流れるヴェルツァスカ川の色から着想を得たもの。澄み切った清流ならではの深みのある落ち着いたブルーグリーンは、時を確認するたびに自然の雄大さと清廉さ、そして静謐さを感じさせてくれる。
直感とは理性を超越した感覚であり、意のままに操れるということ。パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF GMT ラトラパンテ ヴェルツァスカ」は、グローバルな世界を意のままに生きる、現代人にふさわしい腕時計といえるだろう。