欧州

2025.03.27 11:30

ロシアの侵攻と米国の欧州離反で「覚醒」したドイツ、大幅な軍備増強へ

2023年11月25日、リトアニアの首都ビリニュスで行われた北大西洋条約機構(NATO)の軍事パレードで、通りを走行するドイツのレオパルト2戦車(Arnoldas Vitkus / Shutterstock.com)

米国の産業界は、パトリオット地対空ミサイルシステムをはじめとする高度な長距離防空兵器を製造している。一方、欧州の産業界は同様のSAMP/T地対空ミサイルシステムを年に数基製造するのにも苦労している。また、米海軍はEA-18G電子戦機を100機超運用しているが、欧州の軍隊は敵のレーダーなどを妨害するこうした航空機をごくわずかしか保有していない。

米宇宙軍が偵察や通信、ナビゲーション用に衛星を数百基運用しているのに対して、欧州が運用する同様の衛星は数十基にすぎない。米空軍は、人間のパイロットが操縦する戦闘機との空中戦に勝てる能力をもつAIを攻撃ドローンに搭載すべく、迅速に動いているが、欧州の空軍はこの分野でも遅れている。

ドイツ軍は数多くの先端技術を必要としているが、最も緊急性が高いニーズの多くはむしろ「ローテク」なものだ。具体的に言えば人員と弾薬である。ドイツ軍の現在の人員数はおよそ18万人で、目標とする20万3000人に2万人ほど届いていない。

ドイツ政府は総兵力を23万人に増強することを目指している。追加採用が進めば、ロシアによる新たな侵略を抑止するため、ドイツ軍がリトアニアに常駐させることを計画している機械化旅団の戦力組成にも寄与しそうだ。

もし米国がウクライナを完全に見捨てるか、あるいは積極的にロシアに味方するかした結果、ロシアがこの戦争でウクライナに勝利することになれば、欧州の自由な国々の側で百戦錬磨のロシア軍の前に立ちはだかるのは、この旅団とほかの欧州の部隊だけになるかもしれない。

これらの部隊にとって、何よりも必要なのは弾薬、それも大量の弾薬だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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