ネットフリックスの新ドラマ『アドレセンス』が、米国ネットフリックスのランキングで初登場1位を獲得した(編集注:翻訳記事公開現在、日本版ネットフリックスでもTOP10入りしている)。
大々的なプロモーションや、大スターの起用がなかったことを考えると、少し驚きだ。しかし、同作品に対する批評家スコアは満点であり、このような高評価がこの記録の後押しになった可能性がある。
私はすでにこのドラマを最終話まで観終えたが、その理由はあなたも観ればすぐにわかるだろう。本作は、同級生殺しの容疑をかけられた10代の若者を主人公にした犯罪ドラマだ。同様のテーマを持つ作品は他にもある。しかし、本作の特徴は、各エピソードがすべてワンカットで撮影されていることだ。しかも、1話の長さは50~60分なのである。このドラマを観ていると、カメラワーク、演出、演技のすべてにおいて、どうしてこんなことが可能なのか不思議に思えてくる。
各エピソードは、逮捕初日からその数カ月後まで、ストーリーの時系列における異なるポイントに焦点を当て、この逮捕が主人公とその家族にどのような影響を与えるかを描いている。例えば、第1話は武装した警官隊が主人公を逮捕するところから始まり、警察署に向かう車内、そして警察署での交流と取り調べの全過程を、すべてリアルタイムで、3~4人の登場人物の間を行ったり来たりしながら、途切れることなく連続的に撮影している。
『アドレセンス』の監督を務めたフィリップ・バランティーニは、以前にも映画『ボイリング・ポイント/沸騰』で同様のワンカット撮影を実践した。そして、同作品にも出演するスティーブン・グレアムは、『アドレセンス』では主人公の父親役を演じている。
『アドレセンス』では、時系列と場所が異なる4つのシチュエーションがリアルタイムで描かれる。その中でも、いくつかの場面では、それをどのように撮影したのか、発生するイベントのタイミングをどのように合わせたのか、まったく想像できないものもある。また、実質2人の登場人物による会話を1時間に渡って描いたエピソードがあるが、そこに出演する俳優は、それだけの長い時間、セリフをすべて暗記し、休憩もカットもなしで演じているだけでなく、その演技力もすさまじい。信じられないほど素晴らしい仕事だ。
この番組は観るのが辛い作品でもある。ワンカット撮影というコンセプトのせいではなく、題材のせいだ。私自身、幼い息子を持つ父親として、「すべての親にとって最悪の悪夢」とも言えるこの作品の題材によって、胸が張り裂けそうになるし、この家族の心情を考えると、まさに残酷としか言いようがない。しかし、その結末には説得力があり、犯罪ドラマのファンなら、いや、映像やドラマのファンなら必見の作品だ。このドラマの関係者全員が賞賛されるべきであり、グレアムとバランティーニのコンビが次に何をするのか、楽しみでならない。