快挙! iPhone16、Apple Watch Ultra2に並んで世界的デザイン賞で金賞を受賞した大阪の中小企業

世界3大デザイン賞の一つ、ドイツのiF DESIGN AWARD 2025が発表された。
66カ国から11000件の応募があり、最優秀賞である「金賞」に75社が選ばれた。
iPhone16、Apple Watch Ultra2、IBMの量子コンピューターシステムであるQuantum System Twoといったデジタル系からフェラーリの12Cilindriまで、世界の名だたるブランドが受賞。
日本からもソニーのプレイステーション5Pro、NOT A HOTEL FUKUOKA、パナソニックの洗濯機ALPHA SET、NECのデジタル災害支援連携サービス、古民家再生事業「承継樓」が受賞。その金賞に世界的には無名の大阪府八尾市の中小企業「友安製作所」による箒とちりとりのシリーズ「BRUSHUP」が見事、受賞となった。

量子コンピュータやiPhoneなど最先端の製品が並ぶ中、箒とちりとりは意外な製品だが、まずはこれらの写真を見てもらったら、受賞がうなずけるかもしれない。

このBRUSHUPの写真は、ForbesJAPAN(2024年4月号)で掲載している。
「個より集の力でものづくりを発信」というタイトルで、友安製作所の友安啓則社長を紹介。「世界的には無名の中小企業」と先に触れたが、実は知る人ぞ知る会社である。溶接工の求人募集が300倍。関東地方からも入社希望が現れるほどだ。

もとはカーテンフックを製造していた会社だったが、倒産寸前だったところを啓則氏が事業を承継した。そして第二創業としてDIYやインテリア商材の輸入・製造販売を手がけるようになり、売り上げを25倍まで伸ばした。

iF DESIGN AWARD に応募したブランドデザイン部の松本明莉は、「自信がありました」と言う。

「箒やちりとりといった掃除道具は物置に隠したがるものですし、掃除そのものが『掃除しなきゃ』とネガティブな行為と捉えられています。例えば、ルンバなどの自動掃除機は掃除をしたくない人が掃除をしなくても済むプロダクトです。でも、本来、クリエイティブな仕事など、何かを生みだすことをしている人たちは、環境をきれいにしていくことが良いアイデアにつながります。そこで掃除をしたくなる掃除道具をつくろうという発想になりました」

掃除をしたくなるにはどうしたらいいか。物置に隠すのではなく、部屋の中にインテリアとして出しておきたくなる掃除道具がいい。

空間をブラッシュアップすることで、仕事のアイデアもブラッシュアップできれば。そんな思いから、クリエイティブ集団「TENT」と共同開発を行った。

もう一点、友安製作所の偉業を挙げるならば、友安がメンバーの1人となっている八尾市内の企業集団「みせるばやお」が、2023年、「ものづくり日本大賞」で内閣総理大臣表彰されていることだ。中小企業の経営者たちが年に一度、オープンファクトリーの祭典を行っている。それだけでなく、近鉄八尾駅の前に「みせるばやお」という広場をつくり、子どもたちにモノづくりを教えたり、若い社員たちがコラボをして新商品を開発したりするなど、会社の枠、組織の枠を超えた活動を行っている。

地域そのものがクリエイティブ空間として、ブラッシュアップされているのだ。

ドイツの審査員たちにその息吹が伝わったかどうかは定かでないが、こうした取り組みこそ、本当の「地方創生」ではないだろうか。

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